目次
eBayコンサル実況中継 <EMSとDHLどっちがいいの?>
みなさんこんにちは、eBay輸出コンサルタントの志村です。今日も、受講生からの質問をいただきましたので、シェアしていきたいと思います。
『中国人からEMS指定されました。EMSってDHLなんですか?』
ということで、初心者の方からご質問をいただいている内容になります。
詳しく見ていきますけども、質問内容は以下の通りです。
「中国のお客様から
Please do not send it to me by DHL. As you said on the page, send by EMS. Thankyou
とメッセージを頂きました。DHLでなくEMSで送ってね、とのことだと思うのですが、
①DHLはEMSではないということでしょうか?
②EMSで送るとどういう発送方法になりますか?
③なんと返信したらいいかわかりませんので、よろしくお願いいたします。」
すでにeBayの経験のある方にとってみれば、DHLとEMSがどう違うか、
ということは当然の知識としてお持ちになってる方もいらっしゃると思うんですけど、
私共の受講生の中には本当にイチから、ゼロから個人貿易を、eBayの輸出をやっていく、
という方もいらっしゃいますので、こうしたご質問にも丁寧に回答していきたいと思っています。
講師からの回答① EMSとDHL
EMSというのは、日本郵便が提供している国際輸送サービス(国際郵便)の中の一つになります。
DHLはドイツの輸送会社で、国際輸送をやっている会社ですが、今現在はドイツポストの子会社、ドイツの郵便局の傘下にある輸送会社になっています。
もともとはアメリカ人が創業した会社ですので、アメリカが発祥の輸送会社と言えます。
このDHLのほかにもFedex、UPSなど色々な国際輸送をする運送会社があるわけですが、
そういった国際輸送を専門にしている民間企業のことをまとめて『クーリエ』と呼びます。
その『クーリエ』の一つがDHLです。
関連情報 ~中国人Buyerは、なぜクーリエよりEMSを好んだのか?~
中国人Buyerは、なぜクーリエ(ここではDHLさん)よりEMSを好んだのか、
ということですが、
この背景を知っておくだけでも個人で貿易をしていく、
eBay輸出ビジネスをやっていくという場合には、
一定の理解が深まっていくのではないかと思います。
実はEMSで送ると、
輸入した側、お客さんの側(ここでは中国人)は、
関税が課税されないケースが割と
頻繁にあるようなんです。
それに対してクーリエさんの場合には、
きちっと手続きをとられるので、
課税がもれることはまずありません。
そこで、何度も輸入しているBuyerの方(eBayのお客様)は、
EMSのほうが課税されないこと、
関税がかからないことが多い、
ということを知っているので
EMSを指定してきたのではないか、
ということが推測されます。
その良し悪しは一旦置いておきますが、
運送会社、もしくは運送サービスによって、こうした課税に関する扱いなど、
現場の実務上ズレがでてくることがある、
ということは知っておいてもいいのかなと思います。
そう見ると
「EMSで発送したほうが多く海外のお客さんには
喜ばれるからそのほうがいいのかな」と多くの方が思うのかも
れませんが、そうではないケースもあります。
~EMSとクーリエの比較~
DHLやFedex、UPSもそうですが、
EMSと比較すると速くて安いというケースが多いです。
事業者としてきちっとアカウントを作ってDHL、Fedexなどの
クーリエとお付き合いをすると、
一般の消費者よりも安い送料の提示を受けることができます。
これは継続取引することが前提ですが、
そうすることで、EMSよりも安く、
発送してから二日、三日くらいで届くことが多いので、
お客さんにも喜ばれます。
そして売り手としての我々にとっても、
送料が節約できるということは
ありがたいことと言えます。
EMSを選ぶか、
それともクーリエを選んで発送するかというのは、
いろいろと比較しながらの判断が必要になってくなるのか、と思います。
講師からの回答②
日本郵便が提供する国際輸送サービスについて、
もう少し詳しく見ていきます。
大きく分けると以下のようになります。
・航空便
・SAL便
・船便
・EMS
・eパケット
・eパケットライト
・その他の国際郵便
色々ありますが大きくこの六つくらい名前は知っているといいのではないかと思います。
上三つが基本になりますが、eBayで輸出をする個人のプレーヤーが主に使うのは、
実務上EMSかeパケットかeパケットライト、あるいはSAL便になるかと思います。
基本的にはこの四つです。
(1)航空便、船便、SAL便
航空便
航空便は、文字通り飛行機で運ぶということなので、船便よりは当然速くなります。
速いので価格は高いです。速度重視の発送方法ですね。
船便
船便は航空便と比べると遅いですが、割とリーズナブルな価格で発送ができます。
価格重視の発送方法です。
SAL便
そして、その両者の間にあるのがSAL便ということになります。
SAL便は、航空便ほど速くないけど航空便ほど高くもなく、
船便ほど遅くないけど船便ほど安くもない、
という両者の中間的な発送方法になります。
両者のいいところを、それぞれ取った存在です。
この三つの発送方法を基礎にしながら、
ほかのEMS、eパケット、eパケットライトが理解できるようになります。
(2)EMS、eパケット、eパケットライト
EMS
EMSというのは、航空便より速くて安いという非常に優れたサービスです。
ですので日本郵便で一定の価格のものを送る場合には、
このEMSを使う人が一番多いのではないかと推測されます。
「航空便より安くて速いのなら航空便はいらないんじゃないか」
と思うかもしれませんが、
EMSで送れる地域というのは、ある程度限定されています。
EMSが送れる国とそうでない国があるので、
EMSが送れない国には航空便で送る、
という使い分けになるります。
eパケット
eパケットは、航空便扱いにはなるのですが、
航空便に書留をつけたプランになります。
eパケットはEMSと比べるとかなり安いですが、
日数的にはEMSよりかは遅くなります。
安いということで
「多少ゆっくり送ってもよい、でもちゃんと追跡や保険もつけて送りたい」
というケースの場合には
eパケットが最適です。
eパケット・ライト
さらに安いのがeパケットライトで、SAL便に書留をつけたものになります。
この書留というのは、追跡情報が得られたり、一定の金額まで(eパケットの場合は6,000円まで)保険をつけることができます。
※なお、eパケットには保険が付きますが、
eパケットライトのほうは、保険はつきません。
このように、EMSを筆頭に色々な発送方法がありますので、
それぞれ郵便局のサイトで詳しく情報を見て比較しながら、
ご自分のビジネスにあった発送方法、
もしくはご自分が売ろうとしている商品に合った発送方法を選んで送る、
という判断になるかと思います。
講師からの回答③
中国人Buyerの質問に対してなんと返信したらいいか分かりません、
ということですが、これは基本的にはこのご質問者さんの判断一つだと思います。
お客さんの依頼の通りEMSで送るという方法でいくか、
DHLでしか発送できないと伝えて取引をキャンセルするか、
この二つになるかと思います。
(1)お客様の依頼の通りEMSで送る
EMSで送る場合には、DHLより高い可能性もあるので、
そこは比較して、どちらにするかを決めたほうがいいと思います。
また、コロナの影響も受けて、
EMSが送れない地域というのもあるので、
中国の場合はどうか分からない場合は、
郵便局に問い合わせてから、
最終判断したほうがいいでしょう。
こうした二つの観点から
(1)の選択肢でいくかどうかを考えてもらうという感じになるかと思います。
(2)DHLでしか発送できないと伝えて取引キャンセル
DHLでしか発送できないと伝えて取引をキャンセルする、という方法です。
お客さんが折れて「じゃあしょうがないからDHLでいいよ」と
言ってくれるかもしれませんので、
キャンセルまでは言い過ぎかもしれませんが、
それも覚悟しながら「お客さんの要望にお答えできません、ごめんなさい」と
返事してもらうという形でも、
それは売り手の自由だと思います。
以上、二つくらい選択肢として考えられます。
さらにそれでも迷うということであれば、
また別途ご相談いただくという形になります。
eBayで関税に関する留意点
(1)関税はBuyerの責任で支払うのがeBay輸出の原則
基本的にeBayの取引では、
関税はBuyerの責任で支払うものになっていますので、
それは知っておいたほうがいいかと思います。
関税というのは輸入する国が、
自国の産業保護のために設けている制度ですので、
当然品物を輸入する側の国の事情、ということになります。
関税を取られたからといって売り手側に責任がある、
という話ではないわけです。
当然、買い手であるBuyerが責任を持ちます。
(2)関税を理由にNegative評価がついても取り消せる
事前に下調べせずに買う人もいるでしょうから、
買ってみたら予想外の関税がかかり、
それを理由に売り手にNegative評価をつける、というBuyerも中にはいます。
その場合はeBayのルール上、
事務局に一言相談すれば、
関税を理由にしたNegative評価は取り消してもらえますので、
もしNegativeなフィードバックついてしまった人は
事務局に相談してみることをお勧めします。
(3)申告価格の修正には応じない
お客様のほうで関税がかかるということをよくわかっている人が、
事前に輸出時の申告価格の修正を依頼してくることがあります。
売り手である我々が、発送ラベル作ったり、
発送ラベルに添付するインボイスを作ったりするときに、
いくらの商品を輸出しますか、という質問に答え、
それを記入する欄がありますが、これを『申告額』といいます。
輸出申告という手続きの一環として、
この『申告額』を記入しますが、
この金額を小さく書いてくれ、というお客様がいるわけです。
『申告額』小さくすることで税金(関税)を安く逃れたい、
ということなのですが、
こういったことは不正な依頼と言えますので、
それには応じるべきではないと思います。
コンプライアンスにのっとって、法令重視の気持ちで
取引をしていくというのは大事なことではないかと思います。
今回のまとめ
以上、今回のご質問に関して、
ストレートに答える部分と、関連情報としてお伝えした部分、
色々ありましたが以上で今回の解説を終了したいと思います。
最後になりますけども、ぜひメルマガ登録いただける方はこちらのQRコードから登録いただけるとありがたいです。
チャンネル登録もぜひ、
よろしくお願いいたします。ありがとうございました。