目次
- 1 eBayビジネスの手数料体系
- 2 Paypal(ペイパル)の手数料
- 3 eBay出品手数料
- 4 eBay落札手数料(Final Value FeeまたはFVF)
eBayビジネスの手数料体系
eBayビジネスの手数料体系は、利益確保に必須の知識
eBayビジネスの手数料体系について理解しておくことはとても重要です。それは、なぜか?
・利益を確保するための売値の決定
最初に売値を決定するときは、仕入れ値にeBay手数料や送料負担、そして利益を上乗せして売値を計算します。このため、eBay手数料の計算方法を理解いることで、売値の決定が適正なものになるからです。
これは、最初に売り出すときだけではなくて、値引きを行うときや、お客さんから値引き交渉を持ち掛けられた時にも、必要な計算ロジックになります。いくらまで値下げするか、または値下げせずに、交渉を断るかなどの判断材料になります。
特に値引き交渉時には、迅速な回答が効果的なので、しっかりと迅速に手数料計算ができるようにしておきたいところです。
・販売後の利益計算
また、販売後に利益がいくら残ったかを都度計算することで、その後の経営判断が迅速かつ適切なものになります。
当月の利益の累計額が、日々把握できていれば、
値下げで販売促進するか、広告で販売促進するか、
それもと利益に余裕があるので、ここはじっくり待って売るかなど、
営業判断、経営判断をするための材料になる情報を、リアルタイムにに得ることができます。
eBayビジネスの手数料体系は、大きく2系統
eBayビジネスを実践するうえでは、2系統の手数料を理解することが重要です。
1つ目はPaypalの手数料
2つ目はeBayの手数料
です。
それぞれについて、手数料が計算される仕組みを理解しておくと、きっちり利益を確保できる仕入れ値や売値がわかるようになります。
Paypal(ペイパル)の手数料
Paypalとは
まずはPaypalについて概要を解説します。
代金決済(受領)
Paypalとは、ネット上の代金決済サービスです。eBayでビジネスをしていると、受取と支払いの双方の場面でPaypalを利用することになります。例えば、
外貨保有
商品が売れて、その代金(ドル等の外貨)を受け取るときは、Paypalの口座で受領します。販売が成立すると、Paypal口座の残高が増えるのです。
つまり、外貨建ての銀行口座を持っていなくても、外貨を受け取って、保有することができる、ということです。
海外の銀行口座を持っていなくてもよいので、便利なサービスです。
海外の銀行で口座を開くには、現地の住所などが必要なので、簡単なことではありませんが、Paypalがあれば、日本に居ながらにして、海外の銀行口座を持っているような効果が得られるのです。
外貨の両替
受け取ったドルなどの外貨を、その後日本の銀行に振り込むには、一度円に両替することが必要ですが、両替機能もPaypalが提供してくれます。
銀行窓口に出向く必要がないので、これも便利ですね。
日本にある自分の銀行口座への振り込み
売り上げた代金は、その後日本の銀行口座に振り込んで、仕入れや経費の支払いに充てたいですね。そのための振り込み機能も持っています。
建前上は、3営業日から6営業日以内に振り込まれることになっていますが、実際にやってみると当日から翌営業日に着金することがほとんどです。
代金決済(支払い)
Paypalで受け取った外貨の残高は、支払いに利用することも可能です。例えば、eBayの手数料は、Paypalの残高から引き落とされる形になりますし、お客様への部分返金もPaypalから行うことができます。
また、Paypalを決済代行会社として、クレジットカードで支払い(決済)することもできますので、Paypalの残高が少ない時でも、カードで支払うことができます。
Paypalの手数料は大きく2つに分かれる
eBayでPaypalを利用するときに必要となる手数料は、2つあります。(なお、月額手数料は無くアカウントを保有するだけでは、手数料はかかりませんので安心です。)
・Paypal決済手数料
・Paypal両替手数料
以下それぞれを詳しく解説します。
Paypalの決済手数料
Paypal決済手数料は、eBayで商品が1つ売れるたびにかかる手数料です。具体的には、月間取引金額に応じて、以下の割合で計算します。
【海外取引の標準レート】
月間売上30万円以下:売上の4.1 % + 40 円 / 件(標準レート)
【海外取引のマーチャントレート】
月間売上100万円以下:売上の3.9 % + 40 円 / 件
月間売上1000万円以下:売上の3.7 % + 40 円 / 件
月間売上1000万円超:売上の3.4 % + 40 円 / 件
※マーチャントレートは、Paypalに事前に申し込むことで適用されます。
※またeBay上の取引では通常あり得ませんが、Paypalを通じて日本円で受け取る場合(国内取引)には、手数料率が変わり、以下の通りになります。
【国内取引の標準レート】
月間売上30万円以下:売上の3.6 % + 40 円 / 件(標準レート)
【国内取引のマーチャントレート】
月間売上100万円以下:売上の3.4 % + 40 円 / 件
月間売上1000万円以下:売上の3.2 % + 40 円 / 件
月間売上1000万円超:売上の2.9 % + 40 円 / 件
なお、この手数料率は記事執筆時点の数字です(以下同様)。
Paypalの両替手数料
Paypal両替手数料とは
これは、Paypal口座の残高(外貨)を、日本の銀行口座に引き出すときにかかる手数料です。
Paypalの取引履歴には表示されませんので、気づかないeBayセラーもいるようですが、円に両替するときの為替レートが、両替手数料分だけ円高に設定されるので、実質的に手数料を差し引かれて円転されることになります。その結果、円の手取り額が、少なくなります。つまり、手数料が天引きされているわけです。
具体的には、円転額(両替額)の2.5%が両替手数料率となっています。
Paypal両替手数料の計算例
例えば、100ドルを円に両替するときに、
市場レート1ドル110円で両替する場合に、
Papyalは市場レート110円よりもやや円高の1ドル107.25円で、
円転します。
つまり、市場レート110円ー両替手数料率(110x2.5%)=107.25円ということです。
その結果、100ドルの円貨両替は、11,000円ではなく、両替手数料控除後の10,725円となる、ということです。
引出し手数料は、回避可能
Paypalを利用する際にかかる手数料としては、上記2つ(決済手数料と両替手数料)以外に、1回5万円以下の引き出しの場合、1回250円の引き出し手数料かかります。
これを節約するには、1回の引き出し額を5万円以上設定すればよいだけです。
そのため、引き出し手数料は常時課金されることは、回避できます。
Paypal以外の決済手段はあるか?
日本人セラーがeBayの売上代金を受け取るには、現時点(記事執筆時点)では、Paypal以外に方法がありません。
Paypal利用上の注意点
2020年以降は、Paypal以外の決済手段も導入予定
米国内では、Paypalに代わる決済手段が、一部のセラー向けに試験的に導入されていますが、日本人セラー向けに導入されるのは2020年以降になる見込みです。
代金受領の上限
Paypalで日本人セラーが代金を受領する場合、1回の取引につき100万円が上限となっていますので、留意しましょう。eBayやPaypalの手数料、海外送料を含んだ金額として100万円です。
例えば、高価なビンテージ品や骨とう品を扱う場合、売値が100万円を来れることは、しばしば起きます。
そうした品物を販売した後で、決済ができないとお客様との間でトラブルになることがありますので、販売する品物は原則として100万円以下になるように、選定しておく必要があります。
Paypalで代金受領機能を使うには、ビジネスアカウントが必要
代金受領の機能を利用するには、Paypalのビジネスアカウントが必要です。パーソナルアカウントでは、支払い機能しか利用できません。
ebayを始める前から、paypalのアカウントを持っている方も多いのですが、その場合は大抵パーソナル・アカウントでの登録をされています。
eBayで商品が売れてから、代金が受領できないというケースが散見されるのですが、これはビジネスアカウントに変更されていないことが原因です。
eBayでビジネスをするなら、必ずPaypalでビジネス・アカウントを取得して始めるか、またはパーソナルからビジネスアカウントに変更手続きを取っておきましょう。
eBay出品手数料
ここでは、Paypal以外の手数料である、eBay単独の手数料体系について解説します。
eBayでセラーとして販売するための手数料には大きく3つの種類があります。(細かく分類するとほかにもあるのですが、利用する機会も限られるので、下記3つを理解すれば基本としては十分です。)
・出品手数料(Insertion fee)
・落札手数料または販売手数料(Final value fee)
・ストア手数料(Subscription fee)
この3つのeBay手数料について、本稿で詳しく解説していきます。
eBay出品手数料(Insertion fee)とは
eBay出品手数料の意義
出品1個につき課金される手数料です。 ebayの英語表記としてはInsertion feeと言います。原則として、出品した数に比例して、増額していきます。
「原則として」というのは、無料枠があるためです。無料枠の詳細は下記。
eBay出品手数料の特徴:有在庫では気にならないが、無在庫では負担感は大きい
・売れても、売れなくてもかかる手数料である点に特徴があります。つまり成功報酬ではありません。
・再出品の都度、課金されます。
eBayでは、出品期間が限定されていますので、出品期間が終了するまでに売れない場合は、再度出品して売っていくのですが、この再出品の時にも出品手数料は課金されます。
・金額は小さいので、有在庫販売でしっかり利幅の取れる商品を扱っていれば、大きな負担感ない程度の金額です。
しかし、無在庫販売の場合は、大量の出品を行うため、売れ行きや利益をみて出品数をコントロールしないと、出品手数料を回収できない恐れもあります。
・返品されても、商品代金を全額返金しても、出品手数料は返金されません。
しっかり注意して把握しておきたい手数料になります。
出品手数料の金額の決定要因
出品手数料の金額は、厳密にいうと以下3つの要因によって異なります。例えば、
◆出品形式が、オークションか、それとも即決(Buy it now)か?
◆ストア契約の種類(詳細は後述)
◆商品のカテゴリー
したがって、出品形式や、ストア契約そして商品カテゴリーについても同時に理解しておきたいところです。詳しくはそれぞれの項目で詳解してします。
また、具体的な出品手数料については、後述いたします。
出品手数料の無料枠について
基本的には、毎月最初の50個までは、出品手数料の無料枠が与えられます。
更に、ストア契約をすると、ストアの種類に応じた無料枠が与えられます。
例えば、Basicのストア契約をすると、月間200個まで無料出品枠が与えられ、この範囲で出品手数料は課金されません。
無料枠は、ストア契約の種類のより異なりますが、月額費用が高いほど、無料枠の数は大きくなります。
特定カテゴリーの場合の出品手数料
「特定カテゴリー」においては、
原則として、1出品につき0.3ドルです。
例外としてオークション出品の場合に月間100個まで無料、それを超える分は1出品につき0.3ドルです。
なお、「特定カテゴリー」とは、以下のカテゴリーになります。
Antiques(アンティーク)
Art(アート)
Baby(ベビー)
Clothing, Shoes & Accessories(衣類、靴&アクセサリー)
Coins & Paper Money(コイン&紙幣)
Collectibles(収集品)
Dolls & Bears(人形&ベアー)
Entertainment Memorabilia(エンターテイメント記念品)
Health & Beauty(ヘルス&ビューティ)
Jewelry & Watches(ジュエリー&時計)
Pottery & Glass(陶器&ガラス)
Sports Mem, Cards & Fan Shop(スポーツ記念品、カード&ファン・ショップ)
Stamps(切手)
Toys & Hobbies(おもちゃ&ホビー)
原則的な出品手数料(特定カテゴリー以外の出品手数料)
1か月あたり最初の50個までは無料
1か月あたり50個を超える出品については、1出品当たり
・原則として0.3ドル
・例外として、即決販売で以下の一部のカテゴリーでは0.05ドル
書籍(Books)
DVD&映画(DVDs & Movies)
音楽(Music)
ビデオ・ゲーム(Video Games)出品
その他の出品手数料
【リスティングのアップグレード機能利用料の意義】
出品手数料は、基本的には1出品0.3ドルなど、1出品ごとの固定の手数料なのですが、これとは別に出品方法のオプション、つまりリスティングのアップグレード機能利用料を利用することに応じて、追加的に課金される手数料があります。
例えば、商品タイトルと太字にして目立たせたり、サブタイトルを追加して購買意欲を喚起するなど、販売促進上目的で、普通の出品よりお金をかけたい場合に利用する利用料に該当します。
リスティングのアップグレード機能利用料は、上記の基本的な出品手数料0.3ドルに上乗せして(合算されて)、利用するオプションの内容に応じ、課金されます。
【リスティングのアップグレード機能利用料の金額】
リスティングのアップグレード機能利用料の具体的な金額は、出品編集ページ内で、都度表示されますので、それらを見ながら利用するかどうかを判断していきます。
なお、その他の出品手数料は、合計すると高額になることもあるので、利用の効果を見極めながら、恒常的に利用するかどうかを、判断したほうが良いかと思います。
【オプションの種類】
・商品タイトルを太字にする
・サブタイトルを掲載できる
・2つのカテゴリーに出品できる
・アメリカ以外のeBay(英国)への同時出品(International site visibility)
・検索結果画面で、写真を大型表示する
などがあります。
出品手数料についてまとめ
以上、出品手数料について説明してきましたが、活字情報として読むと、かなり複雑な印象を持たれた方もいるのではないでしょうか?
しかしながら、有在庫販売においては、販売形式や、カテゴリーを絞り込んで販売することが一般的ですので、カテゴリーの違いによる出品手数料の違いは、実務上あまり気になりません。
出品数も個人セラーの場合は、(資金量にもよりますが)数百個程度に収まりますので、金額の大きさにおいてもあまり細かく管理するほどの必要性は感じない、というのが実践者としての感想です。
また、無在庫販売の場合は、こちらはカテゴリーを問わず大量に出品しますので、1つ1つの出品について、その出品手数料を管理することもありません。
大量出品が前提なので、事後的に出品手数料総額と利益総額を比較して、出品数やストア契約の種類を判断することになります。
仕組みを理解をしつつ実践するのと、知らずにやるのとでは、やはり実践上の違い、場面場面における判断の違いが出てきますので、暗記はしなくてよいですが、ざっくり理解はしておきたい論点ですね。
eBay落札手数料(Final Value FeeまたはFVF)
eBay落札手数料とは
eBay落札手数料の意義
落札手数料とは、商品が販売できた都度、課金される手数料です。
英語表記としては、Final Value Fee(ファイナル・バリュー・フィー)、またはFVFと呼びます。日本人には落札手数料のほうが分かりやすいと思います。
なお、落札手数料といっても、オークション販売の時だけでなく、通常販売(即決販売)の場合でも、同様に落札手数料という表現が一般的です。
違和感のある方は、翻訳上の問題ですから、販売手数料と呼んでもいいでしょう。
eBay落札手数料の特徴
・成功報酬ですから、売れない限り課金されない手数料になります。
・お客様にご負担いただく受取送料にも課金されます。
こうすることで、送料を多くとって、その分商品価格を安くして、落札手数料を不当に節約しようとする行為を、eBayが回避しています。
※受取送料は、セリング・リミットには課金されませんが、落札手数料は課金されます。両者をしっかり区別して識別したいところですね。
・クレーム等で返品されることに伴い、セラーが返金に応じると、落札手数料も返金されます。
この点は、日本国内のオークションサイトであるヤフオク!とは異なる点ですので、留意したいところです。
取引が成立しない場合には、eBayも手数料は取らない、という誠実な仕組みですね。
・部分返金の場合には、原則として落札手数料は返金されません。
背景について説明すると、eBayはその仕組みとして部分返金のシステムを持っていいないのです。あくまで返品されてから全額返金が、基本的な仕組みです。
しかし、eBayセラーとしては、時にスムーズな取引のために部分返金したいケースがあります。その場合eBayのセラーは、Paypalの管理画面から部分返金することになります。
eBayとしては、eBayの仕組みの外側の取引なので関与しない、というスタンスなのかと推測されます。
出品手数料の手数料率
ベーシック以上のストア契約がない場合の落札手数料率
・標準的な落札手数料率:10%
以下のカテゴリーで以下の手数料率になります。
・書籍・DVD・レコード以外の音楽メディア: 12%
・ギター・バス: 3.5%
・特定の産業用品(大型機械など): 2%
厳密な分類には、以下をご参照ください。
https://www.ebay.com/help/selling/fees-credits-invoices/store-fees?id=4122
※手数料率は、商品価格と受取送料の合計額に対して適用されます(以下同様)。
ベーシック以上のストア契約がある場合の落札手数料率
この場合は、カテゴリーごとに細かく分かれています。
例えば
・カメラ:6.15%
・衣類・靴・アクセサリー類:9.15%
・家電:6.15%
などです
その他のカテゴリーや、厳密な分類には、以下をご参照ください。
https://www.ebay.com/help/selling/fees-credits-invoices/store-fees?id=4122
落札手数料率の上限額
ストア契約をすると、落札手数料に上限値が設定され、たとえ手数料率を適用して計算した値が、上限値を上回る場合でも、上限値までの金額で請求されるにとどまります。詳しくは、下記ストア契約の中で詳解します。
落札手数料(Final Value FeeまたはFVF)についてのまとめ
以上、落札手数料について解説してきましたが、出品手数料に比べると、価格体系が比較的シンプルかだったと思います。
他方で売上に対する割合も、そこそこ大きなパーセンテージになり、eBayセラーにとっては負担感も大きく感じるところかと思いますので、毎月の請求に対しては、注目していきたいところですね。