目次
eBayストア手数料
eBayストア契約とは
ストア契約とは、eBay内にセラーとしてのショップを構える機能のことで、プロのセラーとして、継続的に販売するセラー向けの各種サービスを含む内容です。
例えば、販売ページの外観・体裁を整えたり、大量出品に便利な機能や、大量出品に都合のよい手数料体系などが含まれています。
継続的に販売したり、大量に売買することを計画している場合には、必ず押さえておきたい機能になります。
eBayストア契約の種類と月額費用、拘束期間
ストア契約には、eBay上での事業の規模、具体的には出品数に応じていくつかのタイプのストア契約が存在します。
規模が大きくなるほどに、毎月固定で課金されるストア手数料も高くなっていきますが、金額に応じたサービスが提供されます。eBay内で広告(Promoted Listing)を利用する場合場合にも、ストア契約が必要になってきます。
【eBayストア契約の具体的な種類・月額費用】
(執筆時点)
・スターター(月額7.95ドル、1年契約なら月額4.95)
・ベーシック(月額27.95ドル、1年契約なら月額21.95)
・プレミアム(月額74.95ドル、1年契約なら月額59.95)
・アンカー(月額349.95ドル、1年契約なら月額299.95)
・エンタープライズ(月額2999.95ドル)
【契約期間の拘束について】
契約期間の拘束(1年)がある場合には、月額のストア手数料が優遇されます。この場合で1年以下で中途解約すると、残りの期間に応じて違約金が発生します。
したがって、解約前には、事前にカスタマーサポートに、違約金がどの程度になるかを確認してから判断したほうが良いですね。
契約期間の拘束がない場合は、もちろん月単位でいつでも解約可能です。eBayを始めて間もない方は、まずは契約期間の拘束がないプランで初めて見るとよいですね。
eBayストア化のメリット
ストア契約を結ぶことによるメリットは、いくつかありますが、重要なところとしては、以下の点が挙げられます。
eBay出品手数料の無料枠
・スターター:100個(月額7.95ドル、1年契約なら月額4.95)
・ベーシック:250個(月額27.95ドル、1年契約なら月額21.95)
・プレミアム:1,000個(月額74.95ドル、1年契約なら月額59.95)
・アンカー: 1万個(月額349.95ドル、1年契約なら月額299.95)
・エンタープライズ:10万個(月額2999.95ドル)
eBay出品手数料の割引(割引後の出品手数料)
【即決(Buy it now)の場合】
・スターター:0.3ドル/1出品 ※割引なし
・ベーシック:0.25ドル/1出品
・プレミアム:0.1ドル/1出品
・アンカー: 0.05ドル/1出品
・エンタープライズ:0.05ドル/1出品
【オークションの場合】
・スターター:0.3ドル/1出品 ※割引なし
・ベーシック:0.25ドル/1出品
・プレミアム:0.15ドル/1出品
・アンカー: 0.1ドル/1出品
・エンタープライズ:0.1ドル/1出品
eBay落札手数料の割引
ストア契約がない場合は原則10%のところ、カテゴリーごとに、6.15%や9.15%など、割引があります。
具体的には、下記URLで詳解されています。
https://www.ebay.com/help/selling/fees-credits-invoices/store-fees?id=4122
eBay Final Value Fee Cap (落札手数料の上限値)による節約効果
【Final Value Fee Capとは】
落札手数料については、1販売につき落札手数料額の上限があります。この上限を、Final Value Fee Cap (ファイナル・ヴァリュー・フィー・キャップ)と呼びます。
先述した落札手数料「率」を用いて算出される金額が、上限値を上回った場合は、上限値を落札手数料「額」とする制度です。
高額な商品を販売する場合には、結果的に、落札手数料率が小さくなる効果があります。
【ストア契約別のFinal Value Fee Capのリスト】
Final Value Fee Capはストア契約の種類により、下記のように上限値が異なります。
・スターター: 上限750ドル/1販売
・ベーシック: 上限350ドル/1販売
・プレミアム: 上限350ドル/1販売
・アンカー: 上限250ドル/1販売
・エンタープライズ: 上限250ドル/1販売
【Final Value Fee Capの計算例から見るメリット】
例えば
5000ドルのカメラ(手数料率6.15%)を販売した場合、
5000ドルx6.15%=307.5ドル ですが、
アンカー(FVFキャップが250ドル)を選択していれば、
上限250ドルのFVFキャップがあるため、
販売時にセラーが負担する落札手数料FVFは、
250ドルで済むということですね。
307.5ドルー250ドルで、差額の57.5ドル得したことになります。
また、
実質的な落札手数料率としては、250ドル/5000ドル=5%です。
通常は6.15%のところ、FVFキャップ適用で、5%まで節約できることになります。
このように、Final Value Fee Cap があることで、実質的な落札手数料を節約できる効果があるわけです。
高額な商品を販売する方は、積極的に活用したいところですね。
これも、ストア契約をするメリットになりますね。
Promoted Listing(広告)の利用で、販売促進ができる
Promoted Listing(プロモーテッド・リスティング)とは、広告のことですね。
詳しくか、下記の該当記事の中で詳解させて頂きます。
その他ブランディング
ストア契約を行うことで、ショップとしての店構えをきれいにすることができるようになります。
品物のカテゴリーによっては、ネットショップとしての雰囲気が売れ行きを左右することもありますし、店を覚えてもらうためにも、外観を整えて、ブランディングに生かすこともできるようになります。
ストア化を決断すべき時期は?
ゆう在庫販売を前提とすると、基本的には、初回のリミットアップをした後には、ベーシック・ストア以上で契約をすることをお勧めします。
落札手数料の割引が大きかったり、Promoted Listingを利用できるようになるのなどのメリットがあるためです。
なお、月額のストア手数料を節約したいあまり、スタータープランを選ぶ方もいますが、スタータープランには、上記のメリットがない点は留意しておきたいところです。
eBayの広告プロモーテッド・リスティング(Promoted Listing)
Promoted Listingとは
Promoted Listingの意義
Promoted Listingというのは、広告のことです。eBayのサイト内で、商品の露出を増やすことで、他のセラーよりもアクセスが増えて、売れやすくする仕組みです。広告費はかかりますが、その分売り上げが増えるので、投資する価値があります。
Promoted Listingに対するeBayの意気込み
eBayにとって広告費収入は、落札手数料に並ぶ非常に大きな収益源です。
広告費は、セラーが柔軟に設定できますが、落札手数料率と同程度じか、それ以上の料率で広告費を設定セラーも多いからです。
それだけ大きな販促効果が見込めるということですね。このため、eBayはセラーがPromoted Listingを利用するよう、いろいろな形で利用促進策を打ってきています。
eBayのSEOと、Promoted Listingの関係
【SEOとは】
eBayのSEOというのは、検索エンジン対策のことを言います。
まず、検索エンジン対策が何かを説明しますが、お客様はeBayにアクセスして、ほしい商品を検索して探します。当然ながら、検索結果で上位に表示されるほうが、売れやすくなるのです。
そこで、検索結果で上位表示されるように、セラーが意図的に出品方法を工夫することを検索エンジン対策、英語でSEOと呼びます。
なお、SEOとは、Search Engine Optimizationの略です。
広告を使わない場合には、販売数を伸ばすために、セラーはSEOを意識して、出品を行っていくことで、成功の近道になりますので、SEOは必須の知識と言ってもいいでしょう。
上記グラフは、私の受講生が運営するeBayストアのアクセス数の推移です。赤い矢印の時期から、アクセス数が急激に増えていますが、その原因はあるSEO施策を実施した結果です。
このように、SEOによって、アクセスを増やし、売上アップの促進をしていくわけです。
なお、
Googleの検索エンジンを想定したSEOと、
eBayの検索エンジンを想定したSEOは、
別のものになります。
Google 検索エンジンについて知っているからと言って、eBayの検索エンジンについて熟知していることにはならないのです。
両社は、別のものになりますので、それぞの検索エンジンの特徴に応じた工夫・施策が求められます。
ところが、検索エンジンの特徴といっても、それは公式な情報として公開されているものではないので、その検索エンジンを経由して販売する実務経験によって特徴を把握する必要があります。
したがって、SEOを実践するには、自ら時間をかけて経験を積むか、経験者の知見を共有してもらう必要があるのです。
Promoted Listingの効果
早いもので、私もeBayをスタートしてから10年以上たち、その間にSEOの効果や、売れ行きについて観察を継続していますが、2017年夏ころから、Promoted Listingを使うことの効果が非常に高くなってきています。
むしろPromoted Listingを使わないと、SEOを実施しても売れにくくなってきています。特に2018年6月以降は、その傾向が顕著です。
つまり、Promoted Listingを利用せずに、SEOのノウハウを駆使しても、以前に比べ販売の伸びが緩やかになってきているのです。
裏を返せば、Promoted Listingを使えば、SEOが一層効果的になる、という効果があるのです。
広告料(Promoted Listing Fee, Add Fee)の計算方法
Promoted Listingを利用することでかかる費用は、出品時にセラーが設定する%によって計算されます。
固定金額ではなく、%による計算ですので、広告費は販売額に比例することになります。事前に3%を設定したなら、販売価格に対する3%が広告費としてeBay請求されます。
したがって、Promoted Listingを利用して売る場合は、販売価格を設定する際に、広告費を見込んで、売値を決めておく必要があるわけです。
なお、
・販売価格に一定の%を乗じて費用を計算するという点や、
・成功報酬である点で、
広告費計算は、落札手数料(FVF)と同じ仕組みの計算です。
そこで、広告費を落札手数料(FVF)の合算して考えて、合計した%で計算するようにすると、シンプルで分かりやすいですね。(広告費には、FVFキャップは適用されません)
Promoted Listing(広告費)の課金対象
事前に広告を設定した商品だけに課金
逆に言いえば、広告を設定していない商品には、当然ながら広告費は課金されません。
売れた商品の「販売」価格
Promoted Listingが設定された商品について、受取送料を含まない商品価格に対して、広告費割合が適用されて、請求されます。
広告費割合は、個別の商品ごとに随時設定が可能です。
受取送料には、課金されない
Promoted Listingが設定された商品であったとしても、受取送料部分に広告費は請求されません。
全額返金時には課金されない(課金が取り消される)
販売された品物にクレームが入り、返品依頼(Return Request)を受け入れて、返品後に全額返金した場合、一度課金された広告費はeBayからセラーに返金されます。この場合、翌月の手数料請求額から減額(相殺)される形で、返金されます。
部分返金には課金される(課金が取り消されない)
上記(3)に対して、部分返金した場合は、広告費は原則として返金されません。これは、落札手数料に関する部分返金の扱いと同じ仕組みです。
Promoted Listingの設定方法の種類
個別の出品ページから設定する方法
複数商品にまとめてPromoted Listing(広告費)を設定する方法
広告費の確認方法
Sold画面から確認する方法
eBay手数料の請求書から確認する方法
eBayでは、受取送料にも落札手数料がかかる
eBayで販売することを通じて、セラーがお客様から受領する収入は、商品代金とお客様負担となる受け取り送料の2種類になります。
受取送料をお客様から受領する場合は、受領した金額をセラーが郵便局等に払う海外送料の原資に充てられるので、セラーとしては実質的に送料負担がなく、お客様に負担していただく形になります。
しかしながら、この受取送料にもeBayの落札手数料は課金されますので、注意したいところです。
受取送料の金額は、落札手数料分を減額される前提で、決めておきましょう。
なぜ送料にも手数料がかかるのか?
eBayのセラーとしては儲けならない受取送料に対して、落札手数料が課金されるのは、なぜでしょうか?
例えば、商品代金100ドル、受取送料10ドルだとします。
お客様にとっては、合計110ドルです
この場合、「受取送料に落札手数料が課金されない」と仮定とすると、多くのセラーは、お客様にとって負担額110ドルが変わらないように、
「商品代金1ドル、受取送料109ドル」などの構成で出品価格を設定したくなります。
なぜなら、「受取送料に課金されないと言う仮定」から、落札手数料の課金対象が商品代金である1ドルだけになるので、落札手数料の節約が可能になるからです。
【理由1:不当な手数料節約の防止】
その結果、eBay側では手数料をもらい損ねることになってしまいます。
eBayでは、そのような手数料逃れを防ぐために、受取送料にも課金することを通じて、商品代金と受取送料のバランスに関係なく、落札手数料が課金できる仕組みにしているのです。
【理由2:お客様の誤解を防ぐため】
また、「商品代金1ドル、受取送料109ドル」という極端なバランスで出品すると、お客様が商品価格を誤解して、後々クレームに発展する恐れがあることも、理由となっています。
商品代金と違い、送料は表示がやや小さく控えめなので、送料負担のことを忘れて、商品価格の安さだけに気を取られたお客様が、誤って購入することを防ぐ目的もあります。
送料は別建てすべきか? それとも送料無料にすべきか?
この記事は、eBayの手数料について詳解する内容ですが、ここではやや派生論点となるものの、送料は別建てすべきか?どうかについて、考え方を説明します。
・送料を別建てにするか、
それとも
・受取「送料無料」としつつ、商品価格を上乗せすることで、実質的に受取送料を受領するか
という論点です。
具体的には、例えば、商品代金と、受取送料の合計額が110ドルになる場合に、
・送料を別建てにするなら、商品代金100ドル+受取送料10ドルとするか、
それとも
・送料無料で商品代金に上乗せするなら、商品代金110ドル+受取送料ゼロ(無料)とすか
どっちが得なのか、を判断するための知識となります。
SEOの観点
SEOの観点では、送料無料にしたほうが検索結果に表示されやすくなり、セラーにとって有利となります。なぜなら、お客様のうち一定割合の方は、送料無料出品に限定して、検索をするからです。
つまり、送料無料でない出品をすることによって、一部のお客様との出会いのチャンス(検索にヒットするチャンス)を失うことになるからです。
セリング・リミットの観点
セリング・リミットの観点からすると、別建てしたほうが、受取送料無料よりも、有利になります。
なぜなら、受取送料はセリング・リミットの計算上は除外されるからです。
この点では、上記「SEOの観点」と逆の結論になります。
Promoted Listing(広告費)節約の観点
さらに、Promoted Listingで課金される広告費を節約する観点からは、送料を別建てしたほうが、広告費を節約するメリットがありセラーに有利です。
なぜなら、受取送料は、Promoted Listingの課金対象から外れるからです。
販売形態(Buying format)の観点
販売形態とは、オークションか、それともBuy it nowか、という話です。
やや枝葉に入りますが、オークション販売の場合は、開始価格を1ドル等の低額にすることで、低額出品自体がお客様の検索を引き寄せる効果があります。つまり、やや乱暴な言い方ですが、ざっくり言えば、オークションでは開始価格の低額出品という売り方自体ににSEO効果があるのです。
なぜなら、安い品物を探そうとするお客様は、商品検索時に「安いもの順」に並び変えて検索するので、開始価格が小さいと、並び替えによって上位表示されるからです。
このため、低額出品のオークション販売の場合は、Promoted Listingを使わずに出品しても、集客力があるので、送料を別建てするかどうかを考えるにあたり、Promoted Listingの観点を抜きにして判断するともできます。
受取送料の上限値等
商品代金と、受取送料のバランスは、基本的にはセラーが柔軟に設定することができるのですが、あまりにアンバランスな設定の場合には、出品ができないようにeBayからブロックされたり、カテゴリーによっては受取送料の上限値が決められています。
例えば、eBay.comではありませんが、イギリスのサイトであるeBay.co.ukでは、カメラのボディのカテゴリーでは、10.5ポンドが受取送料の上限になっています(記事執筆時点)。
受取送料に関するまとめ
以上を踏まえて、総合的に判断することで、受取送料を別建てするか、送料無料にするか、またそのバランスをどうするかをセラーが判断することになります。
説明だけ読むと、eBayの実務についていない方や、研究中の方には、やや複雑な話だと感じられるかもしれません。
しかし、各自の販売戦略が明確になってくると、条件が明確になってきて、受取送料の判断もシンプルになってきます。