目次
eBayでは、セリング・リミットの理解がなぜ大切なのか?
eBayで輸出販売する時に気を付けたい特徴がセリング・リミットです。eBayのセリングリミットは、他の販売サイトやマーケットプレイスにはない、eBay特有のルールになります。
特に初心者にとっては、セリング・リミットの仕組みをしっかり理解しておくことで、eBayのスタートがとてもスムーズになりますので、しっかり理解しておきたいポイントですね。
以下、各項目に分けて、詳しく紹介、解説していきたいと思います。
eBayのセリング・リミットとは何か?
セリング・リミット
まずはeBayのセリング・リミットとは何かということ、つまり定義ですが、これは商品の陳列数と陳列合計金額の上限を定めたルールのことです。陳列数の代わりに出品数と言ったほうが分かりやすいかもしれませんね。
例えば、eBayからあなたに、現時点のセリングリミットは、「100品、5000ドル」という指定が来ます。
その場合、あなたはeBay上に、
・数量では100品までしか品物を陳列できない、また5000ドル
・金額では、5000ドルまでしか陳列できない
ということになります。この制度がセリング・リミットです。
ただ、このセリング・リミットは、定期的に増やすことが可能なのです。
リミット・アップ
セリング・リミットを増やしていくこと、そして、そのための手続きのことを、リミット・アップまたは、リミットアップ交渉と呼びます。
eBayにセリング・リミットがある2つの理由 (1)
ネット販売においては、出品(陳列)から販売、そして販売後のお客様フォローや出荷の流れなど、やる事はいろいろあります。
しかし、eBayの画面操作や各種のルールに慣れていない初心者の時から、たくさんの商品を陳列して、ご自身のキャパ(能力)を超える程たくさんの商品が売れてしまうと、出荷の遅れやミスなどが起きて、心ならずも、お客様に迷惑を掛けてしまう恐れがあります。
そこでeBayは、eBay上でセラー(販売者)が行う一連の販売の流れに慣れて頂くために、自動車の仮免許期間のようなモノを定めているわけです。
もちろん、仮免許期間ですから、一定の条件をクリアすれば、出品数と出品金額を増やしていくことができますし、eBayの側もセラーたちが、たくさんの商品を出品できるにふさわしいセラーになってほしいと思っています。
セリング・リミットがあることによって出品数が限られるので、当然のことながら売れ行きも限定的になります。つまり、ボトルネックになるので、ビジネスを拡大するためには、早くリミットアップしていくことがeBay開始当初の重要な課題になるのです。
一見、面倒なルールなのですが、これがあることで、ライバルや競合の増加を抑えてくれるというメリットもあるので、メリット・デメリット両面を理解しておきたいところですね。
eBayにセリング・リミットがある2つの理由(2)
eBayにセリングリミットが定められている背景には、もう一つの理由があります
ネット販売が爆発的に普及しつつある現在、世界中からeBayにモノを売ろうとする新規セラー、新規参入者が増えてきています。
その結果、新規セラーの中には、ややお行儀の悪いセラーたちもいるため、人によってはお客様に迷惑をかける人たちが出てきます。また、過去に実際にそのような事例もたくさんありました。
その結果eBayというマーケットプレイスの信用にも木津がつきますので、それを防ぐためにも、引いたはお客様や、セラーの販売機会を守る意味でも、業務に通じていて、誠実なセラーを増やす意図で、セリング・リミットがeBayで導入されてきました。
最初のセリング・リミットは何個? いくら?
IDを取得した直後、つまり全くのeBay初心者に与えられるセリング・リミットは、原則として10品かつ500ドルが上限と定められています。
つまり、初心者セラーが、商品をeBay上に並べて売りに出すことができる商品数が10品まで、その合計金額が500ドルまでになります。
なお、法人(ビジネス アカウント)としてeBayのIDを取得している場合は、10品250ドルとなるケースも散見されます。
リミットアップは、いつからできるようになるか?
これはつまり、eBayセラーとしての仮免許の卒業は、いつ頃できるようになるか?ということでもあります。
結論的には、初出品から30日です。これが最短のリミットアップになります。この30日間で、【出品する】~【出荷する】~【顧客フォロー】という流れに慣れていく、つまり仮免許で練習していくことになるわけです。
なお、初出品の日から起算して30日ですから、初出品をしないことには、30日間のカウントがスタートしません。
したがって、早くリミットアップするには、IDを取得した後で、とにかく「いの一番」に、最初の出品を行ってしまうことが大事ですね。
もちろん、マイペースにゆっくりやっても結構なのですが、早くビジネスを拡大したいなら、初出品を早めにしてしまうに越したことはありませんね。
その後30日間をじっくり有効活用しながら、2つ目以降の出品を行っていく構えでも結構です。
リミット・アップの4つの方法
初出品から30日以上経過したら、いよいよリミットアップを行うことができるようになります。eBayでリミット・アップを行うには大きく4つの方法があります。
eBayリミットアップ電話交渉
文字通り、eBayの事務局に電話して、リミット・アップを依頼する方法です。
もちろん、電話ですし、相手はeBayのアメリカにいるスタッフですから、英語での依頼になります。
英語に苦手意識のある方は、英語ができる日本人の交渉代理人を間に立てて、電話を行う形も可能です。実務上はスカイプを使って3者間通話する形になります。
交渉代理人を立てて電話交渉することが、初心者にとっては、eBayで最も大幅にリミット・アップする方法になります。
また、英語が得意な方は、自分で電話して英語で依頼することもできます。
ただ、大幅にリミットアップして、ビジネスを迅速に拡大するためには、英語が得意な方であっても、交渉代理人を立てることをお勧めします。
相手方の担当者によって、リミットアップの増加幅に違いがあったり、中には予想外の質問が来ることもあり、回答に窮すると不利になることがあるからです。
というのも、eBayの担当者別の気質や傾向を把握している熟練した交渉代理人を使うことでスムーズかつ大幅なリミットアップ交渉ができるようになるかと思います。
なお、電話交渉が受け付けられるための条件は、以下の通りです。
・原則として初出品から30日以上経過している事。
または、
・2回目以降の電話交渉の場合は、前回の電話交渉から30日以上経過してる事
なお、電話交渉によるebayリミット・アップの最大増加幅は、
最初のリミットアップで10倍、2回目以降のリミットアップでは2倍が上限になります。
自動リミット・アップ
eBayビジネスを実践していると、電話交渉しなくても、eBay側の判断で自動的にリミットアップされることが、しばしばにあります。
【自動リミット・アップのメリット】
まず第1に、電話でのリミット・アップ交渉と違い、英語を使わなくてもよいので、英語が苦手な方には嬉しい方法ですね。
また第2のメリットとしては、増加幅が2倍に限定されない、という点もうれしい点です。
電話交渉で2回目以降のリミットアップの場合は、増加幅は2倍が上限ですが、自動リミット・アップについては、5倍や10倍という事例も多く聞かれます。
このブログの著者である私自身も5倍、10倍の自動リミットアップを年度も経験しております。
【自動リミットアップのデメリット】
他方で、自動リミットアップされる時期に
ついては、予想が難しいので、計画的なリミットアップは難しくなります。
なお、自動リミットアップは、最短では2週間間隔で上がることもあるので、上手くいけば、最低30日間隔の電話交渉よりも効率的にリミットアップしていける可能性もあります。
また、前項でお伝えした自動リミットアップは増加幅が2倍に限定されない、という話は、セラーとしての活動実績が長い場合の話になります。
つまり、eBayとの間で信頼関係がある場合は、その信用の蓄積があるので、自動リミットアップで、5倍や10倍など大きく伸びることがある、ということです。
逆にいえば、
・eBayとの間で信頼関係が十分ではない場合や、
・IDを取得して間もないころ、たとえば90日未満などの場合は、
電話交渉よりも、自動リミットアップのほうが、増加幅が少ないことが一般的です。
例えば、自動リミットアップでは、10品500ドル ⇒ 30品 750ドル等、気持ち程度にしか大きくならない、というケースもしばしば見受けられます。
メールでのリミット・アップ依頼
eBayでは、リミット・アップの依頼をメールで行うことができます。
この方法のメリットは、英語を話す必要がなく、掛ければよい良いので、慌てなくて済むことですね。
逆にデメリットは、eBayの担当者にとっては、我々は顔の見えない関係なので、冷たく却下されやすくなることです。
電話なら、顔は見えないにせよ、肉声での話もできますから、人情が伝わることで、いい回答を引き出せる余地は大きいのですが、条件が悪い場合はメールでは容赦なく却下されることもあるかと思います。
日本語でのeBayリミット・アップ交渉
これは、やや上級者的な方法になります。
eBayでは、取引実績を重ねるなかで一定の条件をクリアすると、TRSという称号をもらえます。TRSとはTop Rated Sellerの略で、カンタンにいえば優秀なセラーとしてeBay事務局からお墨付きをもらったセラーのことです。
TRSになった後で、業績が安定していて、規約も順守しているセラーは、ebayJapanの判断により、日本語でサポートして頂けるようになります。
この日本語サポートの一環として、日本語でのリミット・アップを、電話やメールで依頼することができるようになります。交渉の相手方も日本人スタッフです。
このブログの著者である私自身もお世話になっており、大変助かっています。
しかし、この方法は初心者にはハードルが高い方法になりますね。
英語に苦手意識のある方は、eBay開始直後は翻訳ソフトや安価な翻訳サービスを使って、急場をしのぎつつ、早めにTRSの条件をクリアして、日本語サポートを受けられるように頑張る、という戦術も選択肢になります。
ただ、この日本語サポートを受けられるかどうかについて、公開されている基準があるわけでもないため、あくまでeBay Japan側の判断になります。
なお、私のスクールで学習されている受講生の皆さん方も、この日本語サポートを受けている方々か増えてきました。
大幅リミット・アップが可能な順序
eBayでリミット・アップを効率よく行うことは、事業を拡大するうえでとても大事なことになります。
そこで、幾つもあるリミットアップ方法を、どのように組みわせれば、最も早くeBayのセリング・リミットを最大化できるかが、気になるところですね。
以下、当スクールの推奨モデル(有在庫の場合)をご案内します。
【1】初回リミットアップは、電話交渉で手堅く7倍から10倍を目指す
▼
【2】2回目から4回目は電話交渉を主軸としつつ、自動リミットアップを図る
▼
【3】上記【2】の期間中、こまめにメールで依頼をかける
30日以上経過しないと、本来メールでも依頼も断られますが、ダメもとで
トライすることで、まれにリミットアップする事例が報告されています。
以上、【1】~【2】を柱に、事業拡大を急ぐ人は【3】も取り入れて、リミットアップしていきましょう。
eBayのセリング・リミットはいくら必要か?
原則:目標利益と資金規模に応じて目標設定をする
・eBayで必要なセリング・リミットをいくらと考えるか? この点は、いろいろな視点があるかと思います。
【資金規模から決定する視点】
まずは、ご自身の在庫予算の規模から考えるという方向です。
在庫(仕入)に投下できる資金の総額と、それに上乗せする利益と手数料を合計した金額が売値の合計になります。
この合計額よりも、セリング・リミットが上回っていれば、それで十分と考える視点です。
ただ、この視点はビジネスとしては、堅実手ではありますが、やや消極的ですね。資金などの経営資源は、調達可能だと考えるのも経営者です。
【目標利益から考える視点】
経営者として、もう少し積極的に考えるなら、欲しい利益から逆算して、必要な在庫量を決めて、その結果いくらのリミットが必要かを考える、という視点もあるかと思います。
もちろんその場合は、必要な在庫を用意するだけの資金が足りない、という可能性もある訳ですが、その場合は、別の話として、資金調達を企画する、という流れになります。
資金調達については別途、記事を設けて解説したいと思っています。
無在庫販売(受注販売)を予定している人は、多いほどよい
上記7-1では、有在庫販売を前提に開設しましたが、無在庫販売の場合はどう考え足ら良いでしょうか。
基本的には、無在庫販売では在庫資金が必要ありませんので、リミットは多ければ多いほどよい、というのが主な考え方です。
私の周囲で無在庫販売をやっている人たちは、金額では30億円~50億円くらいのセリングリミットをもって運用している、という猛者もいます。
無在庫販売では出品手数料が大きい
他方で、無在庫販売といっても、eBayでは出品手数料が課金されます。
出品手数料は、売れても売れなくても、1個〇〇セントという形で課金されますので、固定費になります。
無在庫販売では、一般に数千個から数万個の出品を行います。例えば、1万個出品するとした場合に、1個5セントの出品手数料がかかるとすれば、毎月5万セントつまり500ドルの出品手数料が掛かります。毎月の出費ですから、結構な金額です。
もちろん1万個も出品すれば、相応に販売数も増えますので、出品手数料の回収は十分に可能です。
したがって、この固定費たる出品手数料と、販売利益(貢献利益)を比較して、固定費の負担感が最も小さくなるような、セリング・リミットを考えていくことになります。
なお、ストア契約することで、出品手数料の無料枠が与えられます。
したがって厳密には、ストア契約に必要な月額課金と、無料枠を超える出品手数料単価、1個当たりの利益等を総合的に勘案して、セリングリミットが追加で必要になるかどうか、考えていきます。
この点は、明確な方程式の形ではご案内できませんが、経営を実践しながら調整・勘案する点になってきます。事前に頭でっかちになると動けなくなるので、気を付けたいところですね。
「走りながら考える」という姿勢、もスタートアップの時期には必要になりますね。