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eBay輸出に新型コロナが与えた影響
こんにちは^^
Cool Japan個人貿易学院の志村です。
従来からeBayで海外輸出される個人セラーの皆さんは、
大多数がEMSやSAL便など、郵便局が提供する国際郵便サービスで商品をお客様のところに発送してきました。
ところが、新型コロナCovid-19の蔓延によって、航空便が少なくなり、
国際郵便の各種サービスの大部分が、引き受け停止状態に陥りました。
このため、多くのeBayセラー達が、事業継続に一時、困難をきたしていましたが、そこに救世主のごとく現れたのが、クーリエたちです!
クーリエとは
国際的な配達サービスを提供する宅急便のことです。
日本郵便が提供するEMSも定義上は、本来はクーリエに該当するのですが、
この記事では、説明の便宜上、EMS以外の国際配達サービスをクーリエと表現します。
代表的なクーリエたち DHL・Fedex・UPS・クロネコ
例えば、DHLや、Fedex、そしてUPSが有名ですね。
実は、日本国内で有名なクロネコヤマトさんも、国際宅急便をやっていますが、実はUPSさんの窓口業務としてやっています。
なぜクーリエたちが救世主たり得るのか
クーリエ企業の皆さんは、自社で航空機を保有しているため、
新型コロナの影響下でも配達業務を継続できています。
これに対して、日本郵便さんは自社で国際貨物用の航空機を保有せず、民間航空会社の旅客機の貨物スペースを借りて発送していたのです。
海外渡航自粛によって旅客機の便数が減じることで、日本郵便さんが使える貨物スペースも限られ、引き受けできなくなってしまったのですね。
やはり、ビジネスをするうえで、基本的なインフラ(ここでは航空機)を保有していることは、安定的なサービス提供という観点で大きな強みになります。これが、クーリエたちの救世主たる理由です。
困っていたeBayセラーの皆さんも、クーリエを利用しての発送に乗り換えることで、事業の基盤を確保でき、事業継続が可能となりました。eBayのセラーの皆さんにとっては、本当に救世主だったと思います。
脇道ですが、航空機保有は得か損か?
航空機に限らず、企業が自社設備、つまり固定資産を保有することが損か得かは、経営的には論点として取り上げられることが多いです。
固定資産投資は、安定的な事業経営の基盤となりますが、他方でリース料や減価償却費など、固定費を抱え込むことにもなるので、売り上げが減ったときに柔軟に経費を削減することができません。このため一定のリスクもあります。
なぜコロナ以前に、DHL・Fedex等のクーリエは使われなかったのか
新型コロナの影響が、国際郵便に及ぶまでは、DHLやFEDEXといったクーリエを利用して、発送業務を行うeBayセラーは、どちらかというと少数派でした。
多くのeBay個人セラーが、クーリエ各社の名前を知ってはいても、使おうとしなかったわけですが、これはなぜでしょうか?
理由はかんたんで、クーリエの運賃が高額だったからです。
eBayで売れた商品を発送するには、高額過ぎて個人貿易では採算が合わなかったという理由が挙げられます。
例えば、アメリカまで2Kgだと、
あるクーリエでは1万6000円以上の価格が、そのホームページに公開・掲載されています。
他方で、郵便局が提供するEMSはアメリカまで2Kgで4500円ほどです。
こんなに大きな運賃差があれば、だれもが郵便局を選択するのも頷けるかと思います。
なぜ、クーリエの公開運賃は高額なのか?
ではクーリエが郵便局よりも圧倒的に高い価格を提示する理由は何か?気になるところですね。
実をいうと、クーリエというのは「消費者」向けのサービスではないのです。
ここが味噌です。「事業者」向けの発送サービスであることが、彼らの事業コンセプトなのです。
郵便局やクロネコヤマトは、消費者向けの運送サービスが基本ですが、それに対して、クーリエは事業者向けの運送サービスが基本業務ということです。
「事業者」の発送数量は、膨大な数になりますので、運賃を安くしても採算が合いますが、小口の「消費者」からの運送依頼を受けていては、事業効率が良くないわけです。そこで、クーリエは対象顧客を事業者に絞っているわけですね。
クロネコヤマトが個人への宅配を始めるまでは、昔の郵便局も個人(消費者)から引き受ける宅配には極めて消極的であったという話を年長者の方から聞いたことがありますが、採算管理ということで言えば、一定の合理性に基づいた判断でもあるかとは思います。
クーリエについては今でも、そのような経営姿勢が残っているということですね。特に、国境を跨いだり、通関業務を行うなど、国内とは様々に違いがあるのでしょうね。
そのような、対象顧客の違いのため、小口の消費者から運送を依頼されることを、婉曲に防くために高額に見せているのが、クーリエの公開運賃表かもしれません。
実は格安!事業者向けの運賃表は公開されていない
そして、大事なことはここからですが、クーリエが提供している事業者用の運賃表は、見積もりによって、利用者である事業者ごとに、個別に提示される仕組みになっています。
発送する月間個数や、発送先の地域によって、個別に運賃が見積もられるのですが、その運賃表は、特にEMSとの比較では、郵便局よりも、圧倒的に安いケースが多いのです。
発送する品数や、出荷する地域にもよりますが、郵便局と比較して、圧倒的に競争力ある運賃設定になっています。
事業者として、クーリエと取引することによって、格安の運賃で海外発送できる、ということはeBayセラーとしては、確実に抑えておきたい情報ですね。
クーリエを活用することによって、郵便局のEMSよりも格段に安い運賃で発送することができるようになります。
クーリエ利用上の注意点
クーリエと日本郵便では、サービスの基本的な内容に違いがあるため、郵便局と同じ感覚でクーリエを使うことはできません。価格の違い以外にも、様々に、違いがあるのですね。
郵便局と、クーリエの違いをよくよく把握しておくことで、収益性を高く保ちながら、eBayの個人貿易をやっていくことができるようになります。
格安運賃だけじゃない!クーリエがEMSより優れている4つのポイント
1.到着が早い>Positive評価が増える>リピータ化
クーリエによっては、発送した翌日の朝(現地時間)、または翌々日には、外国のお客様宅に商品が届きます。
このような迅速な発送によって、私自身の経験としてeBayのお客様からのPositive Feedbackは格段に増えました。
お客様満足が高まることによって、クレームの発生を未然に伏せくことができます。
また、お客様をリピーター化するにあたっても、最初の取引で印象に強く残るサービスをしておくことが大事ですね。
この点でも、商品が早く届く、というのは、eBayで個人貿易を実践するうえで、非常に重要な課題になってきます。
2.返送ラベルが作れる>ネガティブ評価を防げる
これは、お客様が返品したい、と言われた場合の話になります。eBayでは、返品理由によっては、返品時の送料が、売り手負担になるケースもあります。
その場合、アメリカの商習慣では、運賃支払い済みの発送ラベルを売り手が用意し、買い手にラベルを支給する形がとられることがおおようです。
こうすることによって、お客様が返送運賃を負担せずに、返品できる仕組みとなっています。
ところが、このような商習慣は日本人には馴染みがないですし、さらには、運賃支払い済みの返送用ラベルは、日本郵便を使って発送している場合には、作ることができません。
このような場合に、便利なのが返送ラベル作成機能です。クーリエでは、大抵このような機能が、アカウントページ内で提供されています。返送運賃は、後日クーリエから売り手(送り手)に請求される仕組みです。
返品を受けるという場合には、ただでさえお客様はイライラしています。そのようなときに、返品送料をお客様に払わせることは、炎上を悪化させる恐れもあります。
特にeBayでは、Feedback(評価)の良し悪しが、売れ行きに影響するケースもありますので、間違ってもネガティブなフィードバックが残らないように、細心の注意を払いたいですね。
このように、迅速・スムーズなクレーム処理のためにも、クーリエは利用する価値が大きいのです。
3.送料がカード決済可能>ポイント還元も大きい!
日本郵便を使う場合は、後納料金契約などで月締め支払いするケースが多いかと思います。一部でクレジットカードでの支払いができるようになってきていますが、またまだ一部の限られた局の窓口でしか使え内容です。
他方で、クーリエの場合は、クレジットカードによる送料決済ができます。その結果、カードのポイント還元・マイレージの蓄積ができるというメリットが大きいです。
eBayを使った海外輸出では、仕入つのつに大きいコストは、海外送料です。ここから1%でもポイント還元が得られるのは、大きなメリットですね。
4.紛失や事故の解決が早い
海外発送を行っていると、しばしば運送中に品物が壊れたりします。日本郵便を使っているときに、破損事故や紛失が起きると、「調査請求」という手続きを行います。
調査請求によって、紛失した商品を探したり、事故に対して保険適用を行うかどうかの判断がなされます。
この調査請求は、手続き開始から解決するまでに、2~3か月かかることが多く、eBayのお客様は大抵、そんなに長い時間を待ってくれません。
そこで、eBayセラー、お客様からのネガティブ評価を避けるため、調査結果が来る前に、お客様に返金して、取引を終える、ということになってしまいます。
時には返金した後に、品物がお客様に届き、お客様が誠実でない場合は、それっきり再度の支払いをしてもらえないというケースも生じます。そして、品物が届いているので、日本郵便さんは、保険適用や送料の返金は当然してくれません。
品物が失われ、代金は返金、ということでセラーにとっては、救済策として十分とは言えません。
他方で、クーリエの場合は、1週間前後で調査結果が出ることが多く、その程度でしたら、eBayのお客様も待ってくれることが多いです。
その結果、クレーム解決も早く、ストレスを貯めずに済みます。
DHLやFEDEX等のクーリエで気を付けたい4つのデメリット
以上、1から4までクーリエのメリットを中心にお伝えしてきましたが、当然ながらメリットだけではありません。デメリットも理解してお付き合いすることが大事ですね。
これまで見てきた通り、eBayで売れたものをDHLやFedexなどクーリエを利用して出荷するメリットは諸々ありましたが、日本郵便と比較して、気を付けておきたい留意点、すなわちデメリットを解説していきます。
場合によっては、日本郵便を使ったほうがいいケースもあるので、注意したいところですね。
1.クーリエの運賃に保険料やその他の手数料は含まれているか?
クーリエと契約してから提供される運賃表には、郵便局提供のEMSと比較して魅力的な価格での運賃が記載されていますが、通常は保険料が含まれていません。
出荷ごとに別途保険料を支払うかどうか、判断が必要になるケースがあります。
保険料まで含めると、クーリエの運賃がEMSと同じか少し高い、というケースもあり得ますので、気を付けたいものです。
保険料以外にも、僻地料金という制度があるクーリエもあります。
クーリエは世界中の多くの地域に出荷できますが、過疎地など人が少ない地域への配送は、割増料金を取られることもあります。これが僻地料金です。
僻地料金は運賃テーブルには記載されていないことが通常かと思われます。保険料と合わせて、出荷時に見積もり比較して、日本郵便を使うか、クーリエを使うか、検討したいところです。
2.「実」重量か、それとも「容積」重量か
海外発送の運賃は、重量に比例しますが、この重量という概念に2種類あるのです。
1つが実重量で、実際の質量ですね。これは通常考えられる「重量」のことで、重量計で測定する重さです。
2つ目が容積重量です。これは、たとえ実重量が100gなど軽かったとしても、容積が大きい場合は、重たい品物とみなすとする制度です。
例えば、クーリエでは、1000㏄を200gで換算した重さを、容積重量としています。この場合、実重量が仮に50gでも、200gの重さと見做して、運賃が適用されることになります。
そして、容積重量と実重量を比較して、重たいほうの重量で運賃が決まる、というシステムが取られています。
梱包用の段ボールに入れると、思いのほか容積を消化していることがありますので、気を付けたいところです。
クーリエは航空便で運搬しますので、たとえ軽い品物でも、容積が大きい場合には、飛行機の狭い荷室を圧迫して、運搬効率を下げることになるので、容積重量を適用して割増運賃を徴収しているのだと思われます。
これは、日本郵便のEMSにはない仕組みなので、気を付けたいところです。
3.容積重量システムの例外
なお、容積重量計算の例外になりますが、クーリエが支給するフライヤーと呼ばれるビニール袋に入る大きさに収まる場合には、実重量だけで運賃が決まる仕組みもあります。
商品を発送する場合には、まずはフライヤーに入る大きさかどうかを、チェックしたいところですね。
フライヤーの存在を知らずに、段ボール箱だけで出荷すると、送料が余計にかかりますので、これは非常に重要な知識ですね。
4.集荷依頼するか、営業所に持ち込むか?
日本郵便を使っていてメリットを感じるのは、全国いたるところに郵便局があることです。副業でeBayをやっている方なら、通勤途上や昼休みに、郵便局で発送することも可能ですね。
ところが、クーリエは営業所が、どこにでもあるというわけにはいきません。クーリエの営業所が多いのは、東京の都心部(都心5区)くらいで、それ以外の23区では、1区につき数件しかありません。東京23区を外れると、1県に数件という数に減っていきます。
このため、営業所が近くにない方がクーリエを使うには、集荷依頼に来てもらう必要がありますが、集荷は夕方までの時間で締め切られてしまい、夜の8時や9時を指定することは、なかなかできません。
eBayで個人貿易を行っている人、特に副業の人にとっては、これがクーリエを使う難しさですね。
そのため、土曜日に営業している窓口に、まとめて持って行くなど、出荷までの段取りを整えておくことが必要ですし、お客様にも出荷が数日先になることを事前に伝えておくことも必要です(eBayの実務上はハンドリングタイムの設定を長くとる必要もあります)
発送代行会社なら副業の方も大丈夫
なお、どうしても自分で発送することが難しい場合には、発送代行会社を利用して、代わりに代行会社経由で発送してもらうという選択肢もあります。発送代行会社の場合、日本郵便はもちろん、FedexやDHLを使えることが一般的です。代行会社については、別途記事を改めて、お伝えしたいと思います。
クロネコヤマトの国際宅急便
この時期では、日本郵便と、外資系クーリエであるFedex、DHL等を中心に取り上げてきました。このほか、クロネコヤマト国際宅急便もありますので、合わせてお読みいただければ幸いです。