eBay戦略上、特に重要なのが仕入れ戦略です。輸出販売も物販ですから、よく売れるものを安く仕入れれば、自然と売れていきます。
また、eBayに出品する商品構成は、売れ行きの安定性や発展性にも貢献しますので、経営上、資金繰り上も重視したい点です。
そこで、この記事ではeBayで成功するために、有在庫を前提に、売れ筋に特化した仕入れの戦略、特に安く仕入れるための戦略について詳しく解説していきます。
目次
仕入戦略1:利益が欲しいなら中古品を売るべき
なぜ中古品は相場より安く仕入れができるのか?
中古品は相場より安くなることが頻発する
eBayでの売れ行きを確保するために重要なのが、商品選定、つまり仕入れ戦略であることはすでに触れたとおりですが、それは中古品が安く仕入れるチャンスにあふれているからです。
ここでいう「安く仕入れる」という意味は、新品に比べて中古品が安い、ということでは、もちろんありません。 中古品は、相場と比べて、極端に安くなることがよくあるのです。
中古品は経済理論から外れる価格形成がよくある
ちょっと難しい言い方かもしれませんが、経済学でいう「一物一価の原則」や、「裁定取引の原理」が、必ずしも中古品市場では働かないのです。理由は、情報の完全性や、経済人モデルという前提が外れるからなのですが、もう少し簡単に説明したいですね。
ここでは、
なぜ中古品だと相場より安く仕入れができるのか?
また安くなることがあるのか?
について詳解していきます。
理由1:売り手が現金化を急いでいる
「売り急ぐ」という言葉があります。急いでいたために、安く売って損をする、という文脈で使われることが多いかと思います。
事業を経営していると、時として支払いに追われることもあるので、業者の中には安くてもいいので、商品を早く現金に換えて、支払いに充てたい場合があるのです。
このように、売り手側に懐事情、つまり資金繰りの事情がある場合、相場を大きく下回る価格で売りに出されることがあるのです。
理由2:売り手の仕入れ値がゼロの場合がある
もちろん、売り手の懐事情、資金繰りという動機は、新品の場合も同じです。
しかし、新品の場合は売り手の仕入れ値(卸値)が比較的高い位置にあるので、安売りにも限度があります。
これに対して中古品は、仕入れ値がない場合、つまり備品の処分や、家財道具や遺品の処分である場合も多く、必ずしも、仕入れ原価と比較して利益を確保するというロジックで価格設定されないケースが多いのです。つまり、売り手側としては、「値段がつけばそれでよし」、という判断になることがあるのです。
例えば、日本では粗大ごみの処分はリサイクル料という形で有料なので、家計としては、役所にリサイクル料を払うくらいなら、無料でもよいのでリサイクル業者に買い取って(引き取って)もらいたい、ことになります。
この場合、リサイクル業者の仕入れ値は二束三文です。
つまり仕入れ原価がほとんどゼロなので、リサイクル業者は相場よりもかなり低い価格設定で、商品を中古品市場に売り出します。
これが、個人のeBayセラーにとっては安く仕入れるチャンス、ビジネスチャンスになるのです。リサイクル業者とは分業関係にあるわけですね。
理由2:小規模な仕入ライバルが多く、時間・資金が限られている
中古品の仕入れ値が安くなるのは、売り手の都合(供給サイド)によるものだけではありません。仕入れのライバル、つまり同業者たちの都合(需要サイド)によっても、安い仕入れチャンスがもたらされます。
中古品市場では、同業者たちの多くが小規模な業者や、個人の業者です。eBayで中古品を販売しているセラーの多くも個人セラーです。
小規模なセラーやeBay個人セラーは、仕入れに割く時間(つまりマンパワー)や資金が限られるので、ある商品や、ある時点に限って言えば、仕入れのライバル(競合)がほとんど不在のことが頻繁にあるのです。
そうしたときにオークションに出された品物には、入札が入らないので、極端に安い金額で仕入れられるチャンスが生まれるのです。このようなチャンスをしっかりつかむことがポイントです。
この点、中古品のオークションサイトで、仕入れをするノウハウをしっかり固めておくと、安い仕入れのチャンスをしっかり掴むことができるようになります。
理由3:売り手が商品価値や、商品知識を知らない
中古品については、売り手が専門家でないことがあり、これが安い仕入れのチャンスになります。
例えば、遺品整理の場合、亡くなった方が愛用していたカメラを、ご家族が売りに出されるケースがあります。こういった場合、ご家族の方は、そのカメラの価値や値段、商品の状態の良し悪しがわかりません。
こうしたときに、フリマアプリなどに商品を出品するご家族の方は、「動作未確認です」など、「よくわからない」という内容の商品説明で売りに出されます。すると、買い手も不良品かどうか判断がつかないので、購買に至らず、値段が付きにくいのです。
オークションサイトでも、入札が入りにくいので、同様に安い仕入れのチャンスになります。
品物によっては、極端に安い値段が付くことがあり、当スクールの受講生の中には、それeBayで輸出販売して、1個10万円以上の利益をとれた方もいます。
理由4:売り手が営利活動を目的にしていない
断捨離
最近では断捨離ということも言葉、ライフスタイルもはやっています。家庭内にため込んだ使わない品物を処分することですが、当然中古品として売りに出されます。
断捨離をする人は、営利目的でやっているわけではありませんので、早く部屋がきれいに片付くように、比較的安い値段で売りに出されます。
断捨離という言葉が、流行ること自体が、eBayセラーにとってはビジネスチャンスになるのです。
高齢化社会
また、年齢を重ねることで、趣味が変わることがあります。例えば、趣味でやっていたバードウォッチングを、体力の低下を理由にやめる方もいます。
こうしたときも、趣味の道具(ここではフィールドスコープや、トレッキングシューズなど)が不要になるので、営利以外の目的で中古品が売りに出されます。
その場合、売り手は、必ずしも売ることに真剣ではないので、相場よりも低くなるケースが多いのです。
このように、社会全般の動きの中に、営利以外の家財処分が増える要素があり、相場よりも安く仕入れをするチャンスが、たくさん生まれてきているのです。
こうした品々をeBayで輸出販売することが、ビジネスチャンスになっていきます。
理由5:中古品を扱うオークションサイトやフリマアプリが充実
日本では、ヤフオクや、メルカリが有名ですが、中古品を仕入れできる社会基盤がすでにできています。
こうしたサービスが普及するについて、またサービス間で競争が進むにつれて、中古品を仕入れられるチャンスが増え、ますます安い仕入れのチャンスに恵まれるようになります。
このような仕入れ環境は、ますます磨きがかけられています。
例えば、
楽天グループが展開するフリマアプリであるラクマは、メルカリをライバルとして意識しているようで、販売手数料が3.5%(執筆時点、以下同様))です。対するメルカリは10%なので、フリマアプリで売ろうとするセラーは、手数料分安売りして競争力を高めることができます。
こうした環境を生かせるのも、中古品の良いところです。
理由6:極端に安い仕入れチャンスを掴むノウハウが確立済み
例えば、
ヤフオク(ヤフーオークション)での仕入れでは、オークション特有の仕入れ技術がノウハウ化されています。
また、メルカリでは、アラームソフトを利用することで、特定の条件を満たす商品が出品されたら、即座にスマホのアラームが鳴ります。その結果、買い手(eBay個人セラーである我々)が、いち早く仕入れ競争に勝って、安い仕入れができるようになる環境があります。
当スクールの受講生の中には、eBayとは関係のないデスクワークの最中に、スマホでアラームが鳴るたびに、ボタンひとつで、eBay用の仕入れを行っている方がいます。
ノウハウも様々にありますが、こうしたノウハウを身に着けることで、時間や資金の限られる個人セラーでも、安い仕入れのチャンスに巡り合えるのが、中古品をeBatで売ることのメリットでもあります。
eBayで中古品がよく売れる理由
前項では、「安く仕入れができる」理由を説明しましたが、本項ではより理解を一層深めて頂くために、切り口を変えて「中古品がよく売れる」理由について、解説していきます。
生産終了で希少価値が生まれる
ヒット商品は売れ続ける
中古品というのは、すでに誰かに使用されたものということで、売れにくいとお感じの方も、いるかもしれません。
しかし、中古品の中には、過去にヒットした商品が多くあります。ヒットするには、ヒットするだけの理由があり、多くの人々の心を掴んだ魅力があるのです。
そうした品物は中古品になっても、やはり人々の心を掴み続け、それを欲しいと思うお客様も依然として存在し続けるのです。
生産終了モデル
特にヒット商品の生産終了モデルは、同じ商品が生産されないので、市場では状態の良い品物が、どんどん減っていきます。
その結果、希少価値が生まれ、物によっては新品と同程度か、それを上回る価格の品物も生まれてくるのです。
こういったメカニズムで中古品が高く売れていくのです。
品質状態や付属品で差別化できる
ヒット商品の生産終了モデルの中でも、品質の良いものや、付属品の多い商品は、高値を付ける傾向が強いです。
特にコレクター商品と呼ばれるようなレアものになると、外観に傷がなく、元箱付きだと、商品価格が大きく跳ね上がります。箱だけで取引されるケースも散見されます。
そのため、箱だけを購入して、品物とセットで販売することで、高値売りをするテクニックもあるくらいです。
eBayでブランド力を利用できる
eBayで中古品が高く売れる理由として重要なのは、ブランドを活かせるということです。
ブランド力が売れ行きにつながるメカニズム
eBayのようにネットで物を購入するとき、お客様は必ず検索エンジンにキーワードを入力します。
その際に、ブランド名(固有名詞)がキーワードとして入力されるのです。ブランド力ある商品を扱うことで、お客様の側から積極的に検索して商品を探し出してくれるようになるのです。
特に型番が指定できるような商品だと、この効果はなおさら効いてきます。
中古品がブランドを活かせる理由
ところで、ブランドという観点だけなら新品でもよいはずですが、なぜ新品ではなく中古品のほうが、ブランド力を生かせるのでしょうか?
それは、新品販売には、並行輸入規制やVeroなど、数々の規制があるからなのです。
ブランド力ある大手の企業は、正規の販売店だけに商品を供給しています。そのため、正規販売店ではない個人セラーが、eBayやアマゾン等のマーケット・プレースで新品販売しようとすると、そのメーカーからクレームが入り、出品停止になるケースが多いのです。
これに対して中古品では、そうした規制がほとんどなく、比較的自由に販売活動が展開できるのです。
つまり、大手メーカーの商品など、ブランド力ある中古を扱うことで、競争上の優位さを確保できるのです。
なお、ここでいうブランドとは、アパレルや高級バッグなどの宝飾品ブランドに限らず、世界的に知名度の高い商品シリーズ名、メーカー名のことです。
eBayで価格競争力が持てる
eBayで中古品がよく売れるもう一つの理由は、価格競争力です。
中古品の中には、ほとんど未使用ということもよくありますが、その価格は新品価格からは大きく下がります。
その結果、新品とほどんど変わらないので、価格だけ安いという仕入れのチャンスが多くあるのです。
eBayのお客様の中には、価格に敏感な方も多く、そうした方々は、少しでも安く買うことで、大きな喜びが得られるそうです。
そのため、安く仕入れることで、価格に敏感な方をターゲットとしてとらえられる点でも、中古品がよく売れるのです。
前述(本記事冒頭)のとおり、安く仕入れができることは、中古品のメリットの最たるものです。
仕入戦略2:商品カテゴリーを絞り込む(専門店化する)
eBayで成功するための仕入れ戦略の2つ目は、商品カテゴリーを絞り込むことです。こうすることで、より一層安く仕入れることができたり、海外のお客様からの信頼が増したり、業務が効率化するなど、様々なメリットが生まれます。以下詳しく述べていきます。
メリット1:専門知識が増える
eBay輸出で経験の浅い個人セラーが成功するためには、特定のカテゴリーに特化することが大事です。
中古品を扱うので、そのための検品知識や操作方法など、一定の専門知識が必要になるからです。
逆に言えば、カテゴリーの専門家になることで、専門知識が増えて、ここから多くのビジネスチャンスが生まれてくるのです。
カテゴリーを絞り込むことで、限られたメーカー、限られたブランド、限られた商品を繰り返し仕入れて販売することになるので、それだけそのカテゴリーに習熟するようになります。
これによって、経験の浅い個人セラーでも、短期間にeBayで成功するための基盤が作られてくるのです。
メリット2:低価格で仕入れる力が得られる
カテゴリーを絞り込み、専門知識が身につくことで生まれてくるメリットは、まずは低価格での仕入れが可能になることです。
リサーチ力で安い商品が探せる
実際に交渉するところまでいかなくても、知識の浅い仕入れ先の陳列を見て、安い商品を探し出す力がついてきます。
交渉力で仕入れ値を押さえられる
また、検品して小さな不具合を見つけられれば、仕入れ先に対する値引き交渉の材料とすることもできます。
メリット3:仕入れの定型化がしやすい、業務効率が高まる
eBayビジネスの定型化
eBayで販売する商品カテゴリーを絞り込むことで、業務が定型化されます。
例えば、検品するにも同じカテゴリーの製品だと、同じ機能を持っていることが多いので、点検項目も同じになります。
業務効率の向上
カテゴリーを絞り込んで、同じ作業が繰り返されれることで、仕事に慣れてスピードも上がります。
例えば、
・検品や商品撮影が最たる例ですが、そのほかにも、
・eBay上で、お客様にご覧いただく商品ページの記載内容が似通ってきますので、商品ページをコピーして使い回すことで、作業効率が高まります。
・また、同じカテゴリーであれば、同じ仕入れ先から繰り返し仕入れることもできるので、ボリュームディスカウントも得られやすいです。
・訪問して仕入れる場合でも、行き先を限定できるので、時間効率が高まります。
・さらには、仕入の物流を同梱にしてもらうことで、送料の節約を引き出すことも可能です。
・eBayで売れた後の発送時にも、同じカテゴリーの商品だと、大きさも似通っていることが多いので、同じ規格の梱包材を利用できたり、梱包作業も商品ごとに違いが小さくなるので、効率化しやすくなります。
メリット4:専門店として店構えが良くなり、高く売れやすい
eBayで、特に高価なものを販売する場合には、専門店であることがお客様の信頼につながり、多少高くても、よく売れるようになります。
商品陳列から伝わる安心感
専門店であることは、ストア内に、同じカテゴリーの商品が陳列されていること、つまり店構えでも伝わります。
検索結果画面でのセラーIDの多さから伝わる安心感
お客様が検索時したときに、同じセラーIDの商品が並びやすくなることで、お客様の認知も得やすくなります。
お客様からのフィードバックfeedbackから伝わる安心感
商品カテゴリーが絞り込まれると、お客様のニーズも絞り込まれる傾向があります。その結果、フォードバックに記載される内容つまり満足・不満足の内容も似通ってくる傾向があります。
つまり、購入を検討しているお客様が、セラーの開示されるフィードバックを閲覧することで、お客様自身のニーズが満たされるかどうかを、判断しやすくなるのです。
専門知識はすぐ覚えられるので大丈夫
なお専門店というと、自分にできるだろうかと不安になる読者の方もいるかもしれません。
しかし、実際に実務につくとすぐに覚えられることがほとんどなので、あまり心配しないで大丈夫です。
大事なことは、カテゴリーを広げずに、繰り返しして慣れるということです。
メリット5:フォロアーが増え、リピーターがつきやすい
特定のカテゴリーでたくさんの陳列ができるようになると、お客様から専門店として認知されるようになります。
すると、一度買ってくれたお客様はもちろん、今すぐ買いたいと持っていないお客様でも、ほしくなったらこのストアに戻ってこようとして、お気に入り(フォロアー:follower)登録してもらうことができるようになります。
eBayに限らずビジネスでは、リピーターや、フォロアーの数を増やすことが、売れ行きを上げる重要なコツになりますが、取り扱う商品カテゴリーを限定することで、フォロアーやリピーターが増えやすくなるのです。
メリット6:クレームが減る
eBayで取り扱う商品カテゴリーを絞ることで、クレームも抑えやすくなります。
eBay上でのアフターケア
中古品を買うお客様は、やはり品質に不安がありますので、届いた商品をいじってみて、うまくいかないと、不良品だと誤解されやすいのが一般的です。
しかし、単にお客様が操作方法を知らないだけのことも多いので、売る側に専門知識があると、お客様を上手にケアできて、誤解を解くこともできるようになります。
専門店としての安心感
お客様の不安について先述しましたが、専門店から仕入れていると、それ自体がお客様の安心材料になり、クレームを押さえる効果が生まれます。
クレーム時にはお客様が感情的になっていることが多く、中には「だまされたのでは?」と誤解して、強い口調でクレームを伝えてくる方もいます。
そうしたときに、売り手が専門店だと、お客様の売り手に対する敬意があるので、クレームを伝える際にも、比較的冷静でトーンを押さえた表現でのクレームになる傾向があります。
その結果、冷静なコミュニケーションができ、感情的な炎上を回避して、解決につなげることができるようになります。
eBay輸出は、国境を跨いだ通信販売ですから、セラー人柄や顔が見えずに、お客様も不安です。
カテゴリーを絞った専門店であることが、お客様の不安をやわらげ、ひいては売上と利益の拡大に貢献するのです。