目次
eBay商品戦略1 中古品のメリットとデメリット
ここでは、eBayを含む物販業を選択した場合の次の判断として、商品戦略について述べていきます。
商品といっても、様々にありますが、まずは中古品か新品か、という大きな分類が戦略的な判断になります。
中古品のメリット
利幅が取りやすい
まず、中古品の最大のメリットが、利幅が得やすいということです。新品では定価がったり、定価がない場合(オープン価格の場合)でも、相場が明確にあります。他方で中古品には定価がなく、商品の状態や、売り手の都合・属性によって、値段に幅があります。その結果、安く売りに出されることが頻繁にあるので、そのタイミングを捕まえることで安い仕入れが可能になります。
利幅が得やすい理由については、項を分けて後ほど詳解しています。
eBayと相性が良い
世界においては、中古品を買うならeBayという傾向があります。これは、新品ならAmazon、中古ならeBayというすみわけがあるからです。
もちろん、アマゾンで中古も売られていますし、eBayでも新品が売れています。しかし、利幅の取りやすい高単価の中古品は、アマゾンではあまり売られておらず、eBayのほうが競争力が強いのです。
【eBayが中古品に強い理由】
中古品は、同じモデルでも商品の状態が千差万別なので、商品説明を丁寧にすることが必要です。
この点で、eBayは商品説明のページを柔軟に作ることができます。
これに対して、Amazonは、すでにある商品カタログに、自分の商品の売値と短い説明を登録するだけで出品できてしまいます。商品説明を、お客様に丁寧に伝えるための柔軟な商品説明ページがeBayと比較して作りにくいため、中古についてはAmazon の競争力がやや弱いのです。
その結果、「中古品ならeBay」という認識が、マーケットにはあるのです。
在庫処分(換金)がしやすく、経営上安心
物販というと、在庫を抱えることをリスクだと考える人がいますが、それは新品を前提にしているのです。新品は、モデルチェンジや競合商品の出現によって、どんどん値下がりします。
しかし、中古品は仕入れの段階でしっかり安く仕入れておくことで、それ以上値段が下がらないというケースが多いのです。つまり底値で仕入れれば、それと同等か、それ以上で売れるのです。
特にオークションの底値で買っていれば、もう一度オークションに出しても、同じくらいの値段が付きますので、大きな損切をせずに、短期間で換金して資金回収できる野です。
つまり、経営管理上、資金繰り上、リスクが少なく安全なビジネス展開ができるということでもあるのです。
価格競争に巻き込まれにくい
ネット上で新品を売る場合には、誰が売っても、同じような売り方になります。
例えば、商品写真はメーカーが商品案内に使っている写真を誰もが利用して、ネット上に陳列します。また、商品説明もメーカーのホームページから転載されることがほとんどです。
したがって、新品で販売促進しようとすると、どうしても価格を下げて、安さを訴求して売ることになります。多くの競合が価格で勝負してくるので、価格競争に巻き込まれてしまうのです。
他方で、中古品は、同じメーカーの同じ商品でも、様々な違いがあります。それまでの使われ方によって、外観や機能の劣化など、品質に違いが生じます。
商品写真も、売り手が上手に工夫することで、ほかのセラーよりもキレイで、所品価値を引き立てて売ることが出ます。
また、同じモデルでも生産時期によって、微妙な改良が繰り返されているものがあるので、そうした点をPRして売ることができます。
特に、生産終了モデルで、人気のある商品は、時間が経過するほどに希少価値が生まれ、発売当初の定価を超えて、プレミアム付きの高単価で売ることができるのです。当然利幅も得やすくなります。
例えば、上記の写真は、eBayでの販売履歴の画像なのですが、Sonyのウォークマンが7.5万円以上で売られています。
これは、カセット式のプレーヤーですね。今時こうしたものが、売れるのも驚きですが、値段はさらに驚きですね! 発売当初は1.5万円前後だっかかと思いますが、人気商品で生産終了しているものは、特にプレミアがついて、価格が高騰します。
こうしたチャンスが生まれるのも、中古品の魅力です。
なお、ウォークマンは初代モデルで、その後たくさんの後継機が生まれました。人気シリーズの初代モデルは、その後プレミアがつくことが多いですね。
さら、このモデルの復刻版が海外で売られていますが、復刻版が作られるというのは、それだけニーズが高いこと、根強いファンや、マニアがいるということです。
復刻版が出たら、そのオリジナルモデルの中古品を探してビジネスチャンスにする、というのも中古品ならではの魅力です。
中古品は大手企業のブランドの恩恵にあずかれる
【なぜブランドが重要なのか】
ネットで物を売るときに、ブランドというのは強力な集客力を持っています。ネット買い物をするときには、eBayにせよ、Googleにせよ、Yahooにせよ、お客様は、様々な検索エンジンに、商品名等のキーワードを入力して、商品を探します。
この際に、よく知られたブランドの商品は、当然そのブランド名を、検索エンジンに入力されるのですが、逆によく知られていないブランドやノーブランド品は、お客様がそのブランド名を入力して検索することがありません。
そのため、ブランド力の低い商品は、検索結果にも表示されず、売られていることをお客様に気づいてもらえないのです。もちろん気づいてもらえなければ、売れることもありません。
ブランド力があるということは、お客様から指名買いしていただけるということなので、それだけ集客がやりやすく、売れやすいということですね。
なお、ブランドというのは、メーカー名だったり、商品名、商品のシリーズ名だったり、様々ですが、お客様がよく知っているキーワードだと思っていただければ結構です。
例えば、ルイビトンや、バーキン、エルメスなどはファッション・宝飾系の有名ブランドですが、ニコンやキャノンなどのメーカー名もブランド、iphoneは商品名としてのブランドですね。
様々な商品ジャンルで、ブランドは無数に存在します。芸能人の名前や、映画やマンガ、アニメのタイトルやキャラクターもブランドと考えてよいです。
【新品ではブランドを使えないことがある】
ところが、このブランドが曲者なのです。
多くの一流メーカーは、自社と取引のある正規の販売店だけにブランドの使用を許しています。そうすることで、正規の販売店が競争上で優位に立てるようにしているわけですね。
ところが、個人のセラーなど、正規の販売店でない業者が、ブランドを利用して売ろうとすると、正規販売店にとって競合が増えることになり、メーカーにとって重要なお客様である正規販売店の不満が高まることになります。
そこで、多くの有名メーカーでは、アマゾン等のショッピングモールにクレームを申し立て、正規販売店以外の業者が、自社ブランドの製品(特に新品)を売れないように規制をかけているのです。
【中古品はブランド規制が少ない】
これに対して、中古品については、新品ほど厳しくブランド規制が行われることがなく、特にeBay.comでは、有名ブランドの中古品については、比較的自由に出品ができるます。
つまり、戦略として中古品を選ぶことで、
・有名なブランドの恩恵に与るれること、そして
・規制によって販売活動の自由を制限されることが少なく、
ビジネスのチャンスが多いというメリットがあるのです。
なお、Amazonでは中古品であっても、メーカーからの指摘が入り、出品ができないことが、多く報告されているようです。
高利回りの仕入戦略が活用できる
新品を販売する個人セラーの多くが売値の10~15%前後の利幅でビジネスに取り組んでいる一方で、中古品については20%~30%が一般的、ベテランになってくると商品によって40%くらいまで行くことも珍しくありません。
さらに中古品販売では、仕入れ方法を工夫することで、個人セラーでも仕入れ値の10倍以上で販売することができる商品、機会がたくさんあります。
このような高利回りを確保できるのが中古品のメリットですが、これは上記(1)~(4)で述べた、他のメリットをフルに活用することで、得られる結果です。
つまり、たとえ資金量が限られていても、個人で起業されるセラーが成功しやすい商品戦略が中古品ビジネスなのです。
中古品の利幅(価格差)が得やすい理由
中古品は使用状態や品質が、上から下までピンキリ
したがって、同じメーカーの、同じモデルであっても、まったく同じものが2つとしてないわけです。その結果、同じモデルの商品でも、価格が上から下まで、幅広く取引されているため、上手に価格が低い時を上手に捕まえることで、安い仕入れが可能になり、結果的に「安く買って、高く売る」という商売の基本、利益の確保がとてもやりやすいのです。
逆に新品の場合は、売値がほとんど同じですし、売値を安くする方法は、仕入れ先に交渉して、大量に仕入れることでボリューム・ディスカウントをもらうくらいしかありません。そのためには、大量仕入れに必要な、資金の確保が必要なので、新品で安く仕入れる、特にライバルより安く仕入れるのは、ハードルが高いのです。
売り手の立場ば様々なので、安く仕入れができる
中古品が安く仕入れられる2つ目の理由は、売り手の立場に多様性があることです。例えば、
不用品といて家財を処分しようとする人は、リサイクルショップで二束三文で買い叩かれるよりも、多少でも高く売れればそれでよい、という立場の人もいます。
そういう方から購入する場合は、かなり安く買えるチャンスになります。
また、商品の価値を知らない人、例えばお亡くなりになったご主人が使っていた音響機器を、素材ゴミに出すくらいなら、多少なりとも値段の付くリサイクルショップに、安く引き渡したり、個人間売買で売ってしまうことがあります。商品が持つ本来の価値を知らないことで、安売りされるケースですね。
さらには、リサイクル業者さんです。使ったことがある人はご存じだと思いますが、彼らの買取価格は、かなり安く、実際に二束三文です。リサイクル業者に買取依頼する消費者の多くが、ごみの処分に困っており、有料で素材ゴミに出すくらいなら、無料でもいいので、リサイクル業者に買い取ってもらいたいという消費者の動機を見抜いています。
その結果、ほとんどタダのような金額で買い取っているため、リサイクル業者がその品物を売りに出すときには、換金が早い方法、つまりオークションで販売するのです。
オークションでは3日や7日など終了日時が決まっていますので、終了日には必ず何らかの売値がついて、売れることになります。
また、オークションでは、1円出品など、開始価格が低額に抑えられることが多いので、最終的な落札価格も低くなるのです。つまり、安い仕入れが可能になる、ということです。
そして、リサイクルショップ以外の業者による中古品販売の場合でも、格安に仕入れができるチャンスはたくさんあります。
なぜかというと、業者によっては経営上の都合、つまり資金繰りのため、「いつまでに、あと〇〇円必要」という切羽詰まった状態にある業者さんもいるわけです。
また、資金繰り以外の都合として、想定していた値段で売れずに長期在庫となり、ほかの商品に入れ替えたい、という業者さんもいます。つまり安く売ってでも処分したい場面があるのです。
そうした業者さん方は、リサイクルショップ同様、安くても売りたい、場合によっては赤字でも売って換金したい、というケースがあり、オークションで安く処分するので、こうした局面でも、eBay等の個人セラーは、中古品を安く仕入れるチャンスに恵まれるのです。
eBayなどの個人貿易で収入を増やそうとする場合には、こうした中古品を選ぶことで、利幅が確保しやすく、事業が安定しやすいですね。
海外では状態の良い品薄であるため、高くうれやすい
+
中古品のデメリット
検品が必要
中古品は、いったん使用された品物ですので、使用に伴って一定の傷みや機能上の不具合が生じることがあります。販売にあたっては、こうした点をお客様に説明の上で販売することが必要であるため、出品前に検品をすることが推奨されます。
多少の手間はかかりますが、その分大きな利幅が得られます。慣れてくると短時間で終わりますし、外注化など自分で作業しない選択肢もありますので、デメリットとしては決定的なものではないです。
知識が必要(カテゴリーの絞り込みが必要)
検品にあたっては、操作方法や主要な機能などについて、多少は知っていることが必要です。これは、取扱商品のカテゴリーを絞り込むことで、一定期間の練習によって克服していけます。
一定の資金量が必要(無在庫に向かない)
検品が必要であるため、品物を見ないで売ることは、控えたほうが良いです。在庫を仕入れてから、検品後に販売する、という流れが望ましいです。つまり、受注販売(無在庫販売)には不向きでです。
その結果、在庫を一定数確保できるだけの資金量が必要になります。しかし、資金については、単価の小さい品物や、利回りの大きい品ものに限定して仕入れを行うことで、克服することができます。
eBay商品戦略2 新品のメリットとデメリット
新品のメリット
無在庫販売との相性が良い
新品を扱う場合には、一般には受注販売(無在庫販売とか、無在庫転売といいます)を行う方が多いです。
無在庫販売では、在庫資金なしでビジネスが始められるので、
・資金負担なしに取り組める
・参入障壁が低い、
などの点が新品のメリットになります。
深い商品知識が求められない
新品では、届いたものが壊れているということも、殆どありませんので、検品なしにeBayで売ることが一般的です。この点で、商品の操作方法など知識が要りません。
また、新品を無在庫販売する場合は、とにかくたくさんの品物をeBayに並べますので、商品のジャンルも幅広くなり、むしろ知識を覚えようとしても、覚えきれないというのが実態です。
その結果、物を右から左に流すだけのビジネスになりますから、深い商品知識は、あまり求められません。
新品のデメリット
厳しい価格競争で利幅が薄い
新品では、無在庫販売するセラーが多く、在庫資金が必要とされません。その結果、参入障壁が低い、つまりライバル・競合が増えやすいというデメリットがあります。
また、中古品と違って、売り方に工夫する余地がなく、差別化が難しいのです。ライバルに打ち勝って販売するためには、価格を下げるくらいしか、差別化の方法が無いのです。その結果、利幅が薄くなるというデメリットが生じてきます。
具体的には、無在庫販売で成功しているセラーは、eBayの手数料控除後の手取り収入が、仕入れ値と殆ど同じです。つまり、仕入値と殆ど同じくらいの値段でeBay販売しているのです。
無在庫セラーの利益がどこから出ているかというと、消費税の還付金です。その還付金だけを利益として狙って商売をしているセラーが多いのです。
つまり、仕入値に含まれる8%や10%の消費税相当額だけが、利益となるビジネスモデルなのです。激甚な価格競争ですね。
【なぜ消費税が還付されるのか】
※ざっくりとした説明としては、輸出販売でも、仕入れ時に消費税を払いますが、その後に商品が輸出されることによって、日本国内で消費が起きないことになります。つまり、課税の立脚点である消費がされていないので、仕入るときに一時的に負担した消費税を、後で返してもらえるのです。
【消費税還付に関する注意点】
消費税の還付については、必ず専門家である税理士に相談して、適用条件や諸手続きについて正確に理解し、各自の責任で取り組んでください。
ブランド規制がある
一部の有名ブランドの商品(新品)については、eBayをはじめ、多くのマーケットプレイスで、出品できないなどの規制があります。
これは、メーカーが正規販売店を保護する目的で、マーケットプレイスにクレームを入れることが背景にあります。
利幅を上げるには卸業者の開拓営業や、在庫資金が必要
【卸業者開拓が必要】
個人セラー、これから起業される方、または副業として始める方が、eBayで新品の商品を販売する場合は、多くのケースでアマゾンに出品されている商品を、転売するスタイルとをっています。
そのため、多くの新品無在庫セラーは、同じアマゾン価格で仕入れを行わざるを得ず、そのままでは、競争優位性を得られません。
そこで、どうしたら仕入れ値を下げられるか、ということが経営課題になってきます。
この点、新品販売に成功している個人セラーは、アマゾンで売られている商品の「卸業者」をさがして交渉し、アマゾン価格よりも安い、卸値で仕入れられるように、営業活動をしています。
この営業活動は、副業の方には、時間的に大きな負担となります。
【在庫資金が必要】
また、卸業者から卸値で買うためには、1個ずつでは当然取引していただけません。そこで、まとめて仕入れを行うことになります。
結果的に、新品のメリットたる無在庫販売ができず、在庫資金が必要になるというデメリットが生じてきます。
値崩れしやすい
【モデルチェンジによる値崩れ】
新品については、人気商品になればなるほど、メーカーによってシリーズ化されて、モデルチェンジされていきます。
例えば、パソコンなどは、季節ごと(3か月ごと)に、新しいモデルが発表され、売りに出されます。
その結果、古いモデルの品物は、新品であっても値下げされて行きますので、新品は在庫を保有し続けること自体が、商品価値(商品価格)の下落という形で、リスクにさらされます。
これは、新品商品を扱うことの大きなデメリットになります。
【価格競争による値崩れ】
また、個人セラーがeBayで販売する場合、新品は、その多くが無在庫販売されますが、無在庫販売では、収支トントンとして、利益として消費税還付だけを狙うセラーがいます。つまり価格競争の要因が強く働き、これが値崩れの原因にもなっています。
規約違反のリスクがある
【無在庫販売が規約違反】
新品は無在庫で売られることが多いので、その場合は規約違反になり、
【アマゾンの写真流用についてクレームが来る恐れあり】
同様に無在庫で販売する場合は、アマゾンの写真を流用するセラーが多いのですが、アマゾンで販売している正規のセラーから、写真流用に関してeBay宛にクレームが入ることがあります。
この場合、eBayの事務局としては、該当セラーに対して警告をしつつ、出品の取り下げや、写真の差し替えなどを求めてきます。改善されない場合には、アカウントの利用が制限されるリスクなど、デメリットがあります。
薄利多売で、発送業務で忙殺される
これまで述べてきたように、新品では薄利での商売になりますので、利益を大きくしようとすると、必然的に薄利多売になります。
その結果、たくさんの商品を出荷することになり、流通業務に忙殺される点が、デメリットになります。
もちろん、この点は外注化などで作業負担を減らすことはできますが、もともとの利幅が数百円から、数千円と小さいので、相対的に外注費の負担が大きなものになります。
万単位の利益も望める中古品と比べると、どうしても薄利・多忙になってしまいます。